主演:向井理
フジテレビ系 (火曜日21時00分~)
【内容・ネタバレ含む】
【秘密を巡る最後の攻防戦・最終話】
白河圭太(向井理)は、娘・瞳(山田杏奈)の誘拐犯である元妻・仙台由貴子(仲間由紀恵)と攻防戦を繰り広げてきた。偽装パスポートと新しい名前を手に入れ、海外に高飛びしようとする由貴子とそれを阻止するべく由貴子を警察に逮捕させようとする圭太。
そして伊達翼(松村北斗)は、母を死に追い込んだ帝東建設社長・長沼(佐野史郎)を社会的に抹殺するべくマスコミに告発しようとする。
長沼の元側近で帝東建設の経営戦略室室長・宇都宮(渡部篤郎)は、由貴子の元恋人であったが現在は長沼を社長の座から引きずり下ろそうと圭太と翼に協力している。
由貴子は船で海外逃亡を図るもその船で爆発事故が発生し、行方不明となる。何者かによる殺人が疑われたが、由貴子は生きていた。
圭太の自宅に警察官が訪ねてくる。昨夜、空港で仙台由貴子が目撃されたという。警察は由貴子の死の偽装に手を貸したのでは?と圭太を疑う。そこへ瞳が2階から圭太達が話しをしている1階に降りてくる。瞳へ配慮した警察は「彼女(由貴子)を重要参考人として手配します。もし連絡があったらすぐに知らせてください」と圭太に告げると去っていった。
「生きてたんだね、お母さん」という瞳の前で圭太は由貴子に電話をかける。しかし呼び出し音の後、電波が入っていないというアナウンスが流れた。圭太は瞳にもうしばらく祖母・純子(名取裕子)の家にいるよう提案する。あの日、瞳に付き添って圭太の家に来た石川菜七子(仲里依紗)を襲った二本松(遠藤雄弥)が再びやってくるかもしれないと心配する。圭太は「どうしてもお母さんと会って話したいことがある。そしたらお母さんを警察に連れていく。それで全部終わりにしたいと思っている」と心の内を打ち明ける。瞳は「会えるならお母さんにもう一度会いたい。でも今はお父さんが節約レシピを作っていた頃のような元の父娘の生活に戻りたい」と話す。瞳の言葉を聞いて圭太は「今度こそ終わらせよう、何もかも」と決心した。
圭太は瞳を蕎麦屋いしかわへ連れていき、母・純子や石川家のみんなに瞳のことを頼む。ちゃんと終わらせることができるのか心配する純子らに圭太は「由貴子は必ず連絡してくるはず。逮捕のチャンスはそこ、今度こそ終わらせる」と話した。
圭太は喫茶店に呼び出される。そこには雑誌記者の只見と翼の姿があった。只見は長沼社長に会って裏取りした際のことを話す。以前圭太と翼が長沼に翼の母の死の真相について追及した際、圭太が録音した会話を聞いた長沼は、翼の母と不倫関係にあったこと、不倫相手ともめたこと、倒れた相手を置いて逃げたことは認めたが、殺したとは言わなかったようだ。長沼は結局肝心なところは言葉にしておらず、それどころか圭太の録音だけを元に記事を書いた場合は名誉毀損で訴えると言ってきたという。そして昔から長沼が指示していた偽装建築についても、圭太が接触した孫受け会社は長沼に買収されてしまい、確実な証拠がなくて長沼の罪を暴くことはできないという。苛立ちを露わにする翼をなだめて圭太らは店を後にする。
圭太から連絡を受けて、宇都宮は社長室を訪れる。「残念だったな、私はそう簡単には潰されないよ」と余裕な様子の長沼に宇都宮は「残念です、これを出さなきゃいけない日が来るなんて」と一冊の手帳とUSBを差し出す。矢吹の自殺現場で見つけて隠していたと明かす宇都宮に長沼は「私自身がこの手で燃やしたはずだ」と驚く。長沼が以前、宇都宮から渡されて中身を確認しながら燃やした手帳は、宇都宮が書き写したダミーだった。宇都宮は「あなたは長年仕えた私の文字に気が付かなかった。その程度にしか私を見ていなかったのでしょう」と続ける。「そんなにしてまで私を追い落としたいのか」とがっかりする長沼に宇都宮は「いいえ、守りたいんです!帝東建設を」という。そしてこれ以上無理に隠して、後々過去の偽装建築まで暴かれたら帝東建設は終わりだというと「終わらせるわけにはいかない、その想いはあなたが一番強いはずです」と説得する。
宇都宮は圭太と記者・只見に会い、数日中に社長からのコメントが出ると報告する。宇都宮は認めるのは矢吹が自殺した品川の偽装建築のみで過去の偽装建築については触れないでほしいという条件を提示し、矢吹の手帳(原本)とUSBを只見に手渡した。そしてこのとき、この2つは元検査員の圭太がマスコミに流したものだと念を押すのだった。
学校帰り友人と別れてひとり歩く瞳の後ろを由貴子が尾行していた。瞳が蕎麦屋いしかわに入ると由貴子の後ろから「終わりにしたら?」と純子が由貴子に声をかけた。純子に「そっくりね、亡くなったお母さんに。娘の事より、自分が一番大事」そういわれた由貴子は「あの人とは違う」「何も知らないくせに」と不機嫌に否定する。純子は今まで誰にも言っていなかったが以前、圭太と由貴子の結婚前に由貴子の母親に会ったことがあると話す。純子が、息子が婚約したと名乗ると由貴子の母は「結納金いくらだ」といい、「ない」と答えた純子を罵詈雑言を浴びせた。しかし「娘は違う、幸せになってほしい。(そのためには)今後圭太達の前には姿を見せない、迷惑もかけない」と誓ったという。そして実際ひとりきりで亡くなった。「やっぱりお母さんに似ているわ。わざと瞳を傷つけて自分を憎ませようとしたんでしょう?」という純子に由貴子は「いいえ違います。でもあの子は私とは違う。幸せになってほしい」と答えた。
ふたりのやりとりを店の扉越しにそっと聞いていた瞳は、立ち去る由貴子に向かって「さよなら、お母さん」と呼びかけた。以前、子どもにお母さんと呼ばれるのが大嫌いだといった由貴子だが、振り返った由貴子は優しく微笑んでいた。
帝東建設から社長のコメントが出されるタイミングに合わせて、告発記事が雑誌に掲載されることになった。会社の前には多くのマスコミが詰めかけている。マスコミにもみくしゃにされながらも車に乗り込もうとする長沼は、近くに立っていた翼に気づくと翼に歩み寄り「すまなかった、あの夜から本当のことを知られるのが怖かった。大切な人を奪ってしまってすまなかった」と深々を頭を下げた。
アジトにしているホテルの部屋で由貴子は、長沼が事情聴取されるというニュースを見ていた。そこへ二本松がやってきて白河家の周囲は警官が巡回していて容易に近づけないこと、ここも場所を移したほうがよいと報告する。「巻き込んで悪かった」という由貴子に二本松は「最後まで俺と母を助けてくれたのは由貴子さんだけだから」と話す。圭太から奪い返した3億円が入ったスーツケースを車に乗せ、パスポートを取り戻し次第このお金を送金すると話す二本松。そこへ「仙台由貴子さんですね?」と警察がやってきた。二本松は由貴子を逃がす為、警察と乱闘になる。抜け道につながる扉まで由貴子を誘導すると「由貴子さん、ありがとうございました」といって二本松は扉を閉める。そしてナイフを取り出すと警察官達に襲いかかった。二本松の「離せ!」という抵抗の声を聞き、後ろ髪を引かれながらも由貴子はひとり逃げたのだった。
圭太の自宅で菜七子と圭太が話していると警察から連絡が入る。二本松が逮捕され、お金も全部押収されたという報告だった。電話を切った圭太は「由貴子が死んだと思った時、何かほっとした」と話す。菜七子は「もう無理って諦めるのは簡単だけどあの人はきっと違う」と推測する。そこへ圭太の携帯に非通知で着信が入る。相手は由貴子だった。由貴子からの指定で明日朝7時に南川崎の工場跡で会うことになった。由貴子との電話を切った圭太は警察署へ電話をかけて、明日由貴子と会うことになったと通報する。
翌朝、約束の場所にひとりやってきた由貴子は辺りを警戒している。「聞きたいことがある」という圭太に由貴子は「船のこと?仙台由貴子は元々殺すつもりだった」と話し始める。由貴子はあまりにも圭太がしつこく追ってくるため、圭太の目の前で死んでみせようと計画した。圭太が自分の行動を尾行するのは想定していたという。しかし圭太の目的がお金でも由貴子でもなくパスポートだったことは気づいていなかった。船に乗ったとき持っていたスーツケースはあらかじめ中身を入れ替えたダミーだった。船の中でパスポートがないことに気づいたが、死んだことにしたほうが取り戻しやすいと考えて計画とおりダイバーが待つ海に飛び込んだのだった。
圭太は「聞きたいのはそのことではない」と10年前の火事について尋ねる。圭太の予想とおり、由貴子はあの火事のとき長沼を目撃していた。由貴子は瞳を探すうちに頬に血がついた男を見た。帝東建設の次期社長候補、その顔に見覚えがあった由貴子は長沼を脅迫して顧問弁護士にするよう迫った。「もしもあのとき、俺が警察に行こうと言っていたら…」と不安になる圭太に由貴子は「圭太が火事の原因が瞳であることを秘密にしようと言ったあの時、正しい道より上に昇る道を選ぼうと決めた」と話す。「長沼は私を顧問弁護士にした。私の背中を押してくれたのはあなた」という由貴子。「あのとき俺が抱えた秘密と由貴子の秘密は違ってた」「あのとき俺が隠そうとしなかったら」と後悔する様子の圭太に由貴子は「後悔はしていない」「上を目指すのはやっぱり楽しかった」と話し「呼べば?警察、あなたの勝ちね」という。圭太は警察には今夜7時に会うと話したからここには誰も来ていないと明かす。そして由貴子が死んだと聞いてもう憎まないで済むとほっとした「幸せだったから」と話す。瞳が幼い頃の家族に幸せを感じていた圭太は、あの時の由貴子が偽りの姿だったと知ってもなかったことには出来ずにいた。そんな圭太に由貴子は「白河由貴子になれば普通に家族を大事にして、小さな幸せで満足できる人になれると、母親になれると思った」「でもなりたいものにはなれなかった」という。パスポートを地面に置いて由貴子に背を向ける圭太。振り返るとそこには由貴子の姿もパスポートもなかった。
圭太が自宅に戻ると家の外で菜七子が待っていた。「終わった?」とだけ聞く菜七子に圭太は「終わった、また俺間違えたかも」と答える。菜七子は「終わったんならいいんじゃない」と笑って受け入れた。
その後、警察で事情聴取を受けた圭太は、全てを話した。たったひとつ、パスポートのことを除いては…。
翼は自宅でピアノを弾いている。幼いころ母と連弾したブルグミュラーの無邪気という曲だ。曲を奏でる翼の隣にはあの頃と同じように母の姿が蘇っていた。
圭太の自宅には、瞳が戻ってきた。「ただいま、お父さん」という瞳を「おかえり、瞳」と迎える圭太。以前と変わらぬ仲良し父娘の生活が戻ろうとしている。
帝東建設では、一度は長沼側に付こうとした磐城が「調査委員会には全部社長の指示だと答えた」と宇都宮に話す。「勝ち馬に乗りたいんで」そういって去っていく磐城に苦笑いの宇都宮。
建設現場で圭太は宇都宮に「再就職おめでとうございます」と声をかけられる。圭太は再び建設業界で働くことになったようだ。圭太の自宅キッチンでは菜七子と圭太が並んで料理を作っている。その様子を瞳は嬉しそうにリビングから眺めている。
「ご搭乗のご案内を…」アナウンスが流れる空港に由貴子の姿があった。手にはあのパスポートを持って…。
楽しい食卓を囲みながら圭太は思う~『そして俺たちは新たな秘密を抱えて生きていく』~
【みんなの感想】
40代・男性
最終話が終わり、仲間由紀恵さん演じる仙台由貴子の悪性格のしぶとさが、気分上の余韻に。白河圭太の母・純子も、認めてしまっていた。「あなたの方が、あなたのお母さんより悪賢いわね」。 巷にはびこる悪性格。今の新型コロナウイルスの流行のような事が無ければ、冗談として気分が悪くない部分もあったんですが。残念です。自分が上を目指す為には、手段を選ばず、自分の娘すら利用する。冗談だけがいいですけど。その点は、最後の一線には娘の幸せを願った由貴子の母との違い。 では、偽装パスポートを持って、立ち去った仙台由貴子はどこに行ったのでしょう。おそらく、そういう軽はずみな犯罪的行為をバカにして。私とあなたでは住む世界が違うとでも言ったのでは。残念なことながら、元夫・白河圭太は、その由貴子を逃がしてしまった。新しい嘘をついて。もう終わりにしたいと言ったものの、嘘は増えて。やめましょう。嘘。
30代・女性
由貴子は新しい人生が欲しかったのだろう。 圭太と夢見た、家庭を持ち女性としての幸せ。瞳が生まれて穏やかな数年を過ごしていたが、子供の頃、母親から受けたネグレクトの傷は心に巣を喰っていた。 そんな中で、家族三人で出かけた先での瞳が起こした火災。 それが圭太の中では瞳を守るための秘密になり、由貴子の中では弁護士としての自分を確立するための、秘密になり、二人の間ですれ違いを起こし離婚に繋がってしまったのだろう。 そうやってリスクを侵しながら自分の立ち位置を確立したのに、長沼から顧問弁護士を解任すると言われ、がく然としたが故の3億円の強奪になったのだと思う。 その3億があれば新しい人生をまたやり直せると思ったのではないか。 長沼は偽装建築をしたのはまだ小さな会社だった帝東建設を短納期でマンション建築を完了し、利益を上げて会社を大きくしようとする一心だったであろう。 宇都宮は会社の中でコバン鮫のようにして、長沼の弱点を握りのし上がって行きたいという気持ちだったであろう。 圭太はシングルファザーとして瞳のためにすべてを捧げて育てたいというだけだったであろう。 由貴子は母親としての自分と、子供にまっすぐな愛の注ぎ方がわからないという苦悩と、自分を示すには仕事しかないという気持ちとの戦いだったであろう。 みんながそれぞれの思いがあった上で常に秘密を抱えながら苦しみながら生きている。 その上で、一つ歯車が狂ってしまうと犯罪に手を染めてしまうギリギリのところで暮らしているのである。
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