【MIU404】最終話「最終決戦!4機捜が迎える衝撃のラスト」感想ネタバレ(主演:綾野剛・星野源)

2020春のドラマ一覧

主演:綾野剛・星野源
TBS系  (金曜日22時00分~) 

【内容・ネタバレ含む】
【#11ゼロ】 工場から出てきたトラックを止めようとトラックの進路に立ちふさがった陣馬(橋本じゅん)は、病院に搬送されたが意識が戻らない。病院にお見舞いにやってきた桔梗(麻生久美子)に、陣馬の子供たちは「意外と人望あったんだ」と言って毎日色んな刑事たちがうどんを持ってお見舞いに来てくれていると話す。「警察としては回復するまでバックアップする」と話す桔梗に陣馬の娘は「回復…するかな…」と涙目で胸の内を明かす。
一方、テレビではオリンピック関連のニュースが流れている。久住(菅田将暉)は誰かに電話をして「開会式200万でも買うっていう人がいる」と笑う。電話を終えた久住は、新国立競技場が完成するというニュースを意味ありげな表情で見つめていた。
その頃、志摩(星野源)と伊吹(綾野剛)は404機捜車とは違う車で任務にあたっていた。入った無線に「機捜404…」といいかけてはっとする伊吹。そして志摩がどこかいつもと違う雰囲気なことを気にしていた。スパイダー班・糸巻(金井勇太)の元へ世人(岡田健史)がやってきた。404機捜車・通称メロンパン号は、久住のデマによってテロリストの車だと拡散されてしまったため、今は無線も外されて駐車場の隅に置かれていると糸巻は説明する。「404は本当にNot Foundになってしまった」という糸巻の話を世人は思いつめた表情で黙って聞いている。
桔梗は、警視監・我孫子(生瀬勝久)に説明する。404がテロリストだというデマについては、過去にメロンパン号がパトランプをつけて走行していたという目撃者、そして志摩や伊吹がこれまで助けた人達による反論の投稿によって自浄し、同時多発爆破テロも翌日にはフェイクだとわかり、SNS上での大混乱は間もなく収束したという。「SNS上はね」という我孫子は、通信指令本部からの報告書だという数百ページに及ぶであろう分厚いファイルを桔梗に差し出す。爆発のフェイク映像がネット上に流れた23時、それとほぼ同時に犯人のいちみから数件、虚偽の110番通報が入った。「パトカーに機捜車、消防に救急も出動して、通信指令本部は大騒ぎ。その影響で対応に遅れが出た真実の110番通報は28件、その内重大なものは3件…」という糸巻。3件中の1件が陣馬であり「私が相棒として一緒に居たなら、結果はもう少し違っていた」と世人は悔しさを滲ませる。
新国立競技場近くで喧嘩が発生し、志摩と伊吹が駆けつける。オリンピックに向けて頑張って練習する若者とオリンピック開催を素直に喜ぶことが出来ない高齢者が言い争っていた。伊吹が仲裁に入ると、「俺だって反対なんてしたくなかった…ガキの頃みたいに喜びたかった…」ひとりの高齢男性はつぶやいた。喧嘩は問題なく収まり志摩たちは機捜車に戻る。伊吹はオリンピックを楽しみにしていて聖火ランナーにも応募したという。「陣馬さんにお前が走らなきゃ誰が走るんだって言われて」「この後、陣馬さんに会いに行こう」と明るくいう伊吹に、志摩は「そんな事しても陣馬さんが目覚めるわけじゃない」と素っ気ない。あの日、久住を追うか病院へ行くか迷ったふたりは病院を選んだ。そのせいで陣馬の救急搬送が遅れてしまい目覚めるかわからない状態だ。しかも久住はあの日以来行方不明。「昔の俺なら迷わず久住を追ってた」「他人に判断を任せた俺の問題、俺のミスだ」といってフェイクに気づけずに判断を誤った自分を責める志摩に、伊吹は「俺が悪いって言ってんの!?」と腹を立ててふたりの関係はギクシャクしてしまう。
伊吹はひとり刑務所の面会に来ていた。緊張の面持ちで待っていると伊吹の番号が呼ばれた。しかし蒲郡は面会を拒否したといって差し入れも返されてしまった。「差し入れくらい…」と落胆する伊吹に係の者は「何度来ても蒲郡の気持ちは変わらないから諦めたほうがいい」「たまにいる、ああいう覚悟を決めた人が」と言った。「許さない、許さない…刑事を捨てても俺は許さない…」伊吹は蒲郡の言葉を繰り返しつぶやいた。
伊吹はその足で陣馬のお見舞いにやって来た。廊下の椅子に座って世人と話す。世人は急には配属先が見つからないため、有給消化中だという。「成川の証言を元に久住の似顔絵は完成したが、指名手配をかけるほどの証拠がないため公表は出来ない。ドーナツEP工場は他人名義、陣馬をはねたトラックは偽装ナンバー…足跡を追っても久住にたどり着けるかどうか」という世人に、伊吹は「それでも陣馬さんをああしたのは久住だ。刑事を捨てても俺は許さない」と言った。世人はその言葉に恐怖のようなものを感じる。同じ頃、分駐所の志摩はホワイトボードの陣馬のマグネットを見つめている。そして何か決心をした様子で出掛けていった。志摩が会いに行ったのは特派員REC(渡邊圭祐)だった。「10日間も拘束された」とげっそりした様子のREC。しかし志摩は「警察に爆破予告をしたのだから当然だ」と突き放すように言った。RECのパソコンは久住に乗っ取られた痕跡が一切なかった。唯一、志摩のボイスレコーダーに久住とやり取りした音声が残っていたため10日間の拘束で済んだのだった。「大嫌いな警察に助けられましたね」と嫌味っぽく志摩は言う。志摩と自宅に戻ったRECはパソコンもサーバーも警察に押収されていることに愕然とする。ネット上での自分のことが気になるRECに志摩はSNSを見せる。そこには『RECの自作自演』『RECの本名は小島弓快』…好き勝手に書かれており、RECは「俺じゃないのに!本名まで!!」と怒りを爆発させる。そんなRECに志摩は「今まであなたが晒してきた人達もそうだったかもしれませんね」と諭した。そして「久住を探してみては?このまま負けっぱなしで終わっていいのか?」と挑発する。「警察に協力しろって?」と後ろ向きなRECに、志摩は「警察じゃない、俺に協力しろ」「警察官でいる限りあいつに勝てる気がしない」と言った。RECに「警察辞めたいの?」と聞かれて、志摩はあぁそうかと納得したように頷き「辞めたいのかもしれない、強くて清くて正しい警察官でいることにもう疲れた」と話す。「辞めるにしてもこのままじゃ終われない、そういうことか」「助けてもらったし、俺もやってやりたい」とRECは志摩に協力することにした。RECのSNSのアカウントが使えない以上、注目を集める手立てがないというRECに志摩は「久住の似顔絵、晒してみるか」と提案した。
桔梗は息子のゆたか(番家天嵩)と羽野麦(黒川智花)と外食をしていた。ゆたかが席を外した隙きに桔梗は麦にネットに出回った麦の情報は消すが完全に消せるかはわからないと打ち明ける。桔梗の心配に反して麦は「あっそう」と気にも止めないようすだ。新しい幼稚園の面接にも合格し、こうして堂々と外食できることを素直に喜ぶ麦。幼稚園の保護者が書き込みを見つける可能性を示唆する桔梗に「あの井戸の底を思えば、怖いものなんてない」と麦は笑った。もう少しだけ居候しなければならないことを詫びる麦に桔梗は「家から嫁にいってもいいし、行かなければ老後はふたりで暮せばいい」といって麦を泣かす。麦は「桔梗さんは大事なものを失くすのに」と心配するが、桔梗は「異動が早まっただけ」と言ってのけた。
1機捜の分駐所。桔梗は異動の挨拶をしている。必要以上に注目を集めてしまった責任を取って1機捜と4機捜の隊長を退くことになったという。桔梗は、女性初の隊長で風当たりが強い中、1機捜と4機捜のメンバーが年齢や性別に関係なく共に働いてくれたことを感謝する。そして陣馬がこのような状況にあるのは無念だと強く言った。そして犯人逮捕を見届けたかった、志半ばだがこれは皆に引き継いでもらう涙を堪えて懸命に話す。隊長の言葉は、携帯で世人が陣馬にも聞かせていた。
スパイダー班も4機捜も新しい隊長が不要だと思えばなくなってしまうと糸巻、志摩、伊吹が話している。すると糸巻は「ネット上で妙なものを見つけた」と言う。そこへ桔梗がやってきて志摩は桔梗に連れて行かれた。糸巻は伊吹に「久住の似顔絵が出回っている」とSNSを見せる。警察から情報が漏れるわけないという伊吹に、糸巻が「成川の証言で作成したものとは少し違う」と言って見せた似顔絵は確かに成川の証言とは目元が異なるものだった。一方、隊長室で桔梗は志摩に同じものを見せていた。「まぁ本物を流したら機密にふれますからね」志摩はさらりと答える。桔梗に志摩がやったのかと尋ねられた志摩は「まさか」とトボけた。「誰が何のためにやったのか」と不思議がる糸巻を他所に伊吹は、志摩の方を見つめている。そして伊吹は「色んな資料集めてるんでしょ、悪いやつとか」と企んだ表情で糸巻に言うのだった。今度は反対に志摩が伊吹の方を見つめる。桔梗から「世人が、伊吹は久住を殺しかねないと心配している」と聞いたのだ。「野生のバカは奥多摩に返しましょう」志摩は桔梗に進言した。
隊長室から出てきた志摩に、伊吹が「何ひとりでやってるの?下手な似顔絵とかバレバレ~」といつもの軽い調子で話しかける。すると志摩は「奥多摩に返すよう隊長に進言した」と話す。その瞬間、伊吹は志摩を思い切り殴った。「喧嘩売ってんだろ、殴り返せよ」挑発する伊吹だが、志摩は全く相手にしないで去っていった。
クルーズ船で携帯を見ている久住。志摩が流した似顔絵を見て「似とらん、目悪いんとちゃう」と呟く。そして似顔絵の下に詳細と書かれたURLを見つけると「トラップ見え見え、下手くそか」と携帯を放り投げる。その時、船の下から「今まで誰も作ったことない」と外国人が報告する。久住は「出来たん?最新のドラッグ」と喜びながらも「そんなもんやるやつはアホや」と言ってのけた。
あるカフェで志摩とRECが会っている。久住の似顔絵は順調に拡散されて情報が集まってきているようだ。RECは、糸巻や久住が押さないほうがいいといったURLをクリックする。そこには久住の持つスマホケースについて情報を求めていることが書かれていた。好奇心に負けるような人しかクリックしないという盲点をついた作戦だった。RECが一番有力な情報だと言って見せたのはロンドン在住のアーティストだった。しかし彼は友達からしかメッセージを受け付けておらず、RECがメールしてみたものの返事は来ていない。すると志摩は「イギリスはICPO(国際刑事警察機構)加盟国。警察庁から捜査要請できる」と閃いた。
警察庁。「志摩さんに利用される日が来るとは思いませんでした」世人は言う。世人は「陣馬さんをあんな目に合わせた犯人が許せない」と父のコネを利用して入手した情報を志摩に教える。アーティストが日本に出荷した9個のスマホケースの内、名前ではなく『G11』という記号でマリーナに出荷されたものが怪しいと志摩は睨む。世人はこれを相棒の伊吹が知っているのかと尋ねると志摩は「相棒なんて一時的な仕事相手に過ぎない、何でもかんでも相談なんてしていられない」と素っ気なくいう。「伊吹の判断で久住を取り逃したとき、信じなきゃよかったと思った」「俺はいつの間に相棒なんて頼るようになってしまったのか、あいつを信じるべきじゃなかった」と続ける志摩。その会話を無線で聞いていた伊吹は、苦笑いを浮かべると無線を外して立ち去った。しかし志摩の話には続きがあった。「上手くいってるときは最高の相棒、ミスしたときは相手のせい…勝手だよな。伊吹は正しいやつで、俺はあいつに正しいままでいてほしい」「狩屋に頼んでもいいな、手綱をびしっと握って操作してくれる」と言う。世人は「志摩さんは刑事として正しくないことをしようとしているという事ですか?」と志摩に尋ねる。そして「陣馬さんはあんなで、志摩さんまでいなくなったらどうしたらいいんですか」「(機捜に)関係ないなんて言われたくないです」「ルールに反することはしない、単独行動も禁止ですからね」世人は懇願するように言った。
世人と別れた志摩はひとり、「警察官としてやるかひとりでやるか」とコイントスをする。失敗してコインが入ったポケットに盗聴器を見つける志摩。実は、桔梗が異動の挨拶をした日、伊吹が志摩を殴った隙きに糸巻が志摩の鞄に仕込んだのだった。志摩から電話を受けた糸巻は「志摩さんが暴走しそうで心配だ」と伊吹に頼まれたと白状した。4機捜を心配して桔梗に報告しようとする糸巻に志摩は「隊長も糸巻さんも何も知らない、何かあっても誰のせいでもない」と口止めした。
マリーナを歩く伊吹の元に志摩から電話が入る。伊吹は「相棒なんて一時的なもの」と志摩を真似してみせ、居場所を教えない。しかしその時、電話の向こう側で船の汽笛が聞こえた。
マリーナでは久住がビールを片手に受付にやってきた。「郵便物お願いします、G11です」という久住の声に応えて奥から出てきたのは伊吹。久住は伊吹に気づくも素知らぬふりで対応し、伊吹もそつなく対応する。そして久住が立ち去ろうとした背中に「ここではトラッシュって名前なんだって?」「似顔絵意外と似てたな」と伊吹が呼びかける。知らないふりをする久住に「クズミってやつ、目黒ではゴミ、トラッシュはガラクタ」と伊吹は言う。そして明るい表情を一変させると「俺は一対一で話がしたい」という。伊吹と久住は並んで歩きながら話す。「久住は何がしたいの?相棒・エトリまで殺して」と伊吹に聞かれた久住は「エトリはただの人形や」と答えた。「(自分のことを)分かってどうするんや」という久住に伊吹は「許すかどうか決める」と答える。「薬作りたいやつが作って、使いたいやつが使って、人形になりたいやつがなっただけ、俺は何にもしていない」という久住。伊吹は同僚がトラックに跳ねられて意思不明の重体だと怒りに震えるが、久住は「そんなん自業自得や」と気にもとめない。「ほな」と言って船に飛び乗る久住を「クソガキが」と伊吹が追う。船のトイレに逃げ込んだ久住に伊吹が扉の外から呼びかけると異様な臭いが漂ってくる。臭いのする部屋を開けると中には、実験のような装置とドーナツEPがあった。次の瞬間、防護服を纏った男が伊吹をこの部屋に閉じ込めた。そして間もなく部屋の中から伊吹の声が聞こえなくなり、ドサっと倒れる音が響いた。
志摩がマリーナに駆けつける。警棒を持って船に乗り込むとすぐに異臭に気づいた。そして部屋の隙間から伊吹の後ろ姿が見えた。志摩はすぐに伊吹を助け出したが意識がなくぐったりとしている。そしてそこへ「やっぱりもう一匹おった、わんわんホイホイ」と言ってガスマスクをした久住が姿を現した。そして今度は志摩を部屋の中に引きずり込んでしまう。しばらくして志摩が目を覚ます。体が自由に動かないが必死に伊吹に呼びかける。それでも伊吹はぴくりとも動かない。「俺と組まへん?」「志摩ちゃんとは気が合いそうや、警察のお仲間ほしかったんや」久住は志摩に言う。志摩が「俺たちがいなくなって警察はもう動いている、お前は逮捕される」と言っても久住はそんなことない、連携取れてないと余裕で笑う。そして「ここで死んでも誰にも気づかれへんよな」と意識がない伊吹の口と鼻を押さえる。久住に拳銃を向ける志摩。久住は「機捜便利やな、増々機捜のお友達ほしくなった」とまだ余裕を見せる。志摩が「本当は他人なんてどうだっていい、人を心配して人間らしく見せているだけだ。だから引き金なんて簡単にひける」と言うと「俺と同じってことか」と久住は一瞬強張った表情で両手を上げるも「でも志摩ちゃんはおまわりわんこだから、人殺したらみんな悲しむ、わんわん」とまくし立てる。力を振り絞って志摩が立ち上がると後ろから防護服の男が拳銃を志摩に突きつけた。「志摩ちゃんの負けや」という久住に志摩は「銃声を聞いたら絶対に伊吹は目覚める。そして俺が死んでいたら、伊吹は相棒は絶対にお前を許さない」と言う。
銃声が響いて伊吹が目を覚ます。しかしそこに志摩の姿はない。すると上から「おはようさん」と久住の声がする。「志摩って誰?お前はここにひとりで来て、ずーっとひとり」という久住は「俺と組まへん」と伊吹を誘った。昔の俺みたいなやつをまっすぐな道に戻すためにやっていると断る伊吹に、久住は「どーしても許されへんかったらどうする?殺すしかないんとちゃうんか」と凄む。久住は「なんでひとりで来たんだ」と問う。「久住許さん、殺したるゆうて、志摩にも要らん言われて悔しくて衝動的に来たんやろ、クズのまんま変わってへん」と畳み掛ける。そして「こうなったのは、お前がしでかした結果や」と久住が指差す方を見ると、扉の取手に血がついている。伊吹が慌てて扉を開けると頭から血を流した志摩が倒れて来た。怒りに震えて咄嗟に志摩の拳銃を手に取った伊吹の腕を志摩が掴んで止める。そして「殺すな…」息絶え絶え訴える志摩。「どうする?今なら俺を殺人で逮捕できる。相棒のお陰やね」と言う久住。「刑事でおるかクズに戻るか」という久住に向かって伊吹は躊躇せずに発砲した。「おい、相棒」「返事しろよ」涙を流しながら、動かなくなった志摩に呼びかける。そして手でそっと志摩の瞳を閉じた。

それから1年後~。テレビではオリンピックが華々しく開会した。ピタゴラスイッチを転がる玉…。『もし止められるならどうにかして止めたいよな』『最悪の事態になる前に』という志摩の声…。

時間が遡る。マリーナの船の中、伊吹と志摩は手足をガムテープで拘束されて、意識を失っている。同じ頃、陣馬の病室で山ほど積まれたお見舞いのうどんが崩れてテーブルから床に落ちる。「陣馬さん早く食べないと」「俺が作った博多うどん食べてよ、コシがねえなって言って」と言いながら世人はこれを拾う。世人は陣馬との出会いからこれまでの事を思い出す。そして「もう一度、酒飲みましょう、つきあうから」と話しかける。すると陣馬の手が世人の頭に触れる。陣馬は目を覚まし、「博多うどん…コシがねえな」と微笑んだ。
船で意識を失っている志摩と伊吹。そこへ伊吹の携帯に世人から着信がある。そしてSNSで『陣馬さん起きました』『意識を取り戻しました』とメッセージが届く。その着信のはずみで台に置いてあった携帯が伊吹の側に落ちた。そして伊吹は目を覚ます。側で倒れる志摩を見つけた伊吹の目から涙が伝う。伊吹の呼びかけで志摩も目を覚ました。「最悪な夢を見た」という志摩と伊吹。伊吹がガムテープを噛みちぎり、志摩が携帯を手に取る。世人からのメッセージを読んで安堵するふたりそこには優しく笑う陣馬の写真があった。志摩は世人に連絡する。
船上では海に出た久住が、志摩たちが目覚めたことに気づかず「どこで海の藻屑にしてやろうかな」と楽しげに話している。ふたりは久住に気付かれないように船から海に飛び降りると、近くの船に助けを求めた。久住はこれを見て「国外逃亡じゃ」と船のギアをあげてスピードアップさせた。世人から連絡を受けた糸巻は、桔梗を呼び止めると「東京湾で久住を発見」と報告する。一緒にいた上層部を他所に、桔梗はすぐに機捜メンバーに指示を出す。桔梗から指揮を取る許可を求められた我孫子は、「次の隊長がいる前で…」と躊躇うが、桔梗の「面目のために、千載一遇の機会を逃すなら私達の居る意味がない」という熱意に押されて許可を出す。
船では逃げられないと判断した久住はマリーナに引き返す。船から飛び降りると、仲間の男に「逃げ切ったら2000万円振り込むから頑張りや」と言って走っていく。
別の船に助けられて陸に上った志摩と伊吹の元に、メロンパン号で世人が駆けつける。世人が持ってきた伊吹の置き靴を見て伊吹は喜ぶ。志摩はひとりで行動したことを「俺がバカだった」と伊吹に謝る。そして「行きますよ、バカふたり」という世人。三人は笑顔を見せて現場へ向かう。緊急配備がひかれる中、伊吹はメロンパン号から道沿いの川を行く屋形船に久住の姿を発見する。「行って来い」背中を押された伊吹が勢いよく走り出す。屋形船に並走する伊吹を見つけた久住はそっと身をひそめる。久住を見つけた伊吹は船を追い越して走っていく。次の瞬間、橋の欄干から屋形船に飛び乗って久住を追い詰める伊吹。しかし、久住は余裕で伊吹に手を振ると次の橋桁に手をかけて橋に登ってしまった。すると今度は自転車に乗った志摩が久住を追いかける。久住の逃げる先を世人が運転するメロンパン号が塞ぐ。逃げ場を失った久住は、伊吹がUターンさせた屋形船に再び飛びおりる。そして自ら橋桁を避けずに頭を強打した。大量の血を流して倒れる久住。久住は階段を下りながら「この船俺の知り合いが貸し切っている。警察の暴行事件の目撃者をたくさん作れる」と言って「警察にやられた~殺される」と演技をする。血だらけの久住を見た知り合いの男は「お前どうしたん?真っ赤じゃん」と笑って誰も真剣に受け止めない。唖然とする久住、屋形船の中にはドーナツEPがそこかしこに転がっている。みなが高笑いをして久住など気にも止めなかった。「お前が望んだ世界だな」と志摩が言い、「こんな世界にしたお前を俺は一生許さない」「許さないから殺してやんねー」と伊吹は言う。大人しく手当を受ける久住に志摩は「生きて、苦しめ」と諭した。
~1ヶ月後~芝浦署に「機捜うどんつくるぞ!湯切りするぞ!」陣馬の元気な声が響く。世人は我孫子に「警察庁で出来る事を考えた」と新制度改革を提案する。桔梗は西武蔵野書の署長になっていた。桔梗を訪ねてきた志摩と伊吹に、桔梗は久住が雑談にも応じず黙秘を続けていると話す。「お前たちの物語にはならない」病室の久住は志摩と伊吹に最後に話した。
青空を見つめる伊吹。伊吹は「泥水に流されて全部無くなればいい」という久住の言葉を志摩に話す。志摩はもし久住がバックドアをつけた話が官公庁なら戸籍も消せるかもと言い「最悪の事態になる前に俺たちが止めた、そう思おう」と話した。伊吹は志摩に「刑事辞めたりしないよな」と念を押す。
時は流れて2020年夏。黒いセダンの機捜車、伊吹の隣には志摩がいた。

【みんなの感想】
30代・女性
大どんでん返しにハラハラしました。伊吹が久住を撃って、志摩のピタゴラスイッチが動いて…どうなってるの?どういうこと?と信じたくない気持ちでいる間に、こうなってほしいと思っていたストーリーが動き出す。最後まで引き込まれっぱなしでした。4機捜から隊長と世人が居なくなってしまったけれど、志摩と伊吹は変わらず続いていき、みんなそれぞれの場所で熱意を持って活躍していく明るい未来でよかったです。本当に上手く言葉で表現できないけれど、一挙手一投足に伏線があって、すべての台詞が全話に繋がっていて一瞬も見逃せない聞き逃がせない、瞬きすら出来ないくらい面白かった!

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