主演:中島健人・平野紫耀
日本テレビ系 (土曜日22時00分~)
【内容・ネタバレ含む】
【守りたいもの】
9年前の7月1日、最初の被害者である中富姫花がスコップ男〟によって殺害された。そしてその2日後、二人目の被害者・天満千尋が殺害され、三人目の被害者は捜査を担当していた近藤修平警部補だった。スコップ男は警察官。当時の指揮官・国枝(木下ほうか)はこの事実を知りながら、無実の天満暁生(佐戸井けん太)を逮捕した。橘冬美(大幡しえり)が持っていた古い携帯電話の映像ファイルには、〝スコップ男事件〟の最初の被害者である中富姫花を土に埋めている片野坂譲(伊勢谷友介)の姿が映っていた。そして片野坂は、この古いガラケーを奪おうと本間快(中島健人)と一ノ瀬次郎(平野紫耀)をゴム弾で撃って気絶させて逃走している。しかし快はこの映像が、片野坂が登場する前から撮影されていることに気づく。映像を巻き戻して最初から確認すると、そこには衝撃の出来事が映っていた。
快と次郎はこの映像を助教の及川蘭子(吉瀬美智子)に見せる。上に提出しても再びもみ消されることを懸念する蘭子に、快は模擬捜査を行いたいと申し出る。「教官(片野坂)の心の中が知りたい」「天満姉弟と約束した」ふたりの熱意に押されて、蘭子は自分が手伝うことを条件にこれを許可した。
柳田(原田泰造)は、片野坂に電話をかけるが片野坂は電話に出ない。署内では、ETCカードや防犯カメラから片野坂の運転するレンタカーの行き先がすぐにわかり、砂岡(山根和馬)ら捜査員たちは現場に向かう。「何でわざわざ足がつくようなことを…」柳田は片野坂の行動を疑問に感じていた。砂岡たちとは別に、柳田と稲西(中村ゆり)は片野坂の元妻・晴美(西山繭子)の元を訪ねる。片野坂が3件の殺人容疑で追われていると聞いて晴美は驚きを隠せない。
砂岡たちは、国枝の監禁場所へやって来た。国枝を見つけた砂岡たちは、背後から片野坂にゴム弾で撃たれてその場に倒れ込む。片野坂は「これで共犯者が全員揃った」「分かって頂けましたか、私の覚悟」と言って国枝に銃を向けた。
模擬捜査を行うことになった快と次郎は、ガラケーの映像を同期たちに見せる。衝撃的な映像に驚く一同だが、黒岩(葉山奨之)を筆頭に全員が協力することに。快と次郎は姫花が埋められていた現場に向かうと、遺体発見現場に花をたむけにきた女性・神尾舞(真魚)と偶然出くわす。「ただの同級生です」と言って足早に立ち去る舞。何か隠している、そう感じたふたりは舞を追いかけて、「何でも良いから教えてほしい」と頭を下げた。舞は「姫花は同級生をいじめていた。そして私はそれを見て見ぬふりした」と重い口を開く。姫花は同級生に「言われた通りに万引して来い」と指示して泥水を浴びせる。そしてそれは同級生が自殺するまで続いた。「彼女が自殺しても、姫花の祖父が偉い人だからと誰も何も言わなかった」舞は涙ながらに話すと走り去った。
そして近藤について調べていた蘭子は、近藤が犯罪を見逃す代わりに金品を要求していたという噂があったことを突き止める。さらに、天満について調べていた鷹木(傳谷英里香)らは、片野坂が天満の経営するパン屋の近所に住んでいた情報を得た。そしてパン屋の近くの写真店には、片野坂と妻と赤ちゃんの写真が残っていた。柳田と稲西は、児童養護施設を訪れる。感電事件で唯一生き残った平山みく(鈴木梨央)に会いに来たのだ。入院していたみくに片野坂が話した身の上話を尋ねる。「おじさん(片野坂)には、私と同じ位の歳の中学生の娘がいた。しかし今は会いたくても会うことが出来ない、死んじゃったから…」「どんな事をしても守りたかったのに守れなかった」とみくは証言する。
その頃、片野坂は国枝を監禁している場所でシアン化カリウムをカプセルに詰めている。柳田からの着信に応じるつもりはないようだ。そして拳銃に実弾を詰める。その傍らには、片野坂の娘と思われる少女の写真があった。数年前、娘の葬儀を終えた片野坂と妻・晴美。晴美は「犯罪者のプロファイリングは出来るのに、娘のことは何にもわかんないのね」冷たく言い放つ。片野坂は、国枝にいじめとの関連性を捜査するよう進言するが、国枝は取り合わなかった。
快と次郎は再び姫花の事件現場に戻る。そして犯人がわざわざ撮影した意図を推測する。『人間が必要以上に何かに必死になるときその裏には隠されたもう一つの真実がある』片野坂の言葉を思い出しながら快は、犯人のストーリーを読み解く。
片野坂の元へ快から着信が入る。電話に出た片野坂に快は「明日お会い出来ませんか」「教官との約束を果たす準備が出来ました」と話す。明日の9時片野坂教場で待っている、と快は約束した。電話を切った片野坂は国枝の元へ行くと「明日教え子たちに最後の授業をすることになりました。お互い役目を果たしましょう」と言った。
少しして監禁場所に柳田たちがやってきた。しかし、片野坂の姿が見当たらない。片野坂は、警察学校に来ていた。教室に入ると蘭子や快、次郎たち同期が起立をして待っていた。そして「今から模擬捜査の発表をします」と快が言い、片野坂は着席する。快たちは片野坂の教えに従い、一件目の事件を重点的に調べた。姫花のいじめによって自殺したのは片野坂の娘・夏美だった。当時、姫花の祖父・中富幸三によって圧力がかけられたため、いじめはなかった事にされたことがわかった。犯人は復讐のために姫花を殺害した。二件目、三件目について復讐の動機はないことから、これは口封じだと快は話す。天満とは同じ町内に住んでおり、犯行を目撃しても不思議はない。さらに近藤と片野坂は当時同じ捜査本部におり、真相に気づいた可能性があった。プロファイラーの片野坂にとって、架空のスコップ男を他人に擦り付けることは簡単だったと快たちは結論づけた。これを聞いた片野坂は「立派になったもんだ」と拍手をする。しかし「だが俺の物語にはまだ続きがある」と片野坂は言う。当時片野坂は、近藤の遺体写真を国枝に見せて自分が犯人だ、と自分を逮捕するように言った。しかし、片野坂が逮捕されることはなかった。片野坂は「心から感謝する」と快に言う。すると快は「まだ続きがあります」「教官が3人を殺したのは教官の理想の物語、フィクションです。真実は違う」と言う。
快は、姫花の殴られた力が、天満や近藤よりも弱いことに着目する。「力が弱かったのは子供の犯行だったからです」と快は言う。片野坂にはもうひとり娘がいた。自殺した姉のことが大好きだった妹。「ただの復讐じゃない。その子にはその子なりの正義があった」と快は話す。ある日、妹は姫花がいじめをしている様子をガラケーで撮影していた。姉が亡くなってもただターゲットが変わっただけだった。姫花はそれに気づいて追いかけてきた。妹は姫花が追いかけてくるのも計算済みだったようで、木の影にガラケーをセットするとスコップを手に「警察に自首して」と言った。「私には国会議員のお祖父ちゃんがいて、どんなことしてももみ消してくれる」全く反省する様子がない姫花。
その夜、片野坂の元に妻・晴美から電話が入る。晴美は血がついた妹のTシャツを手に「どうしよう…」と動揺している。その後、片野坂と晴美が現場に行くとそこには血まみれて息絶えた姫花の姿があった。通報しようとする片野坂を晴美は「娘を守って、家族を失いたくない」と止める。葛藤した後、片野坂は姫花を埋めて猟奇殺人に偽装した。しかし、予想に反して天満が現場から逃げる妹を偶然目撃してしまったのだ。片野坂の家にやってきた天満。妻と天満がもみ合っているはずみで天満は運悪く玄関に頭を打って亡くなってしまった。片野坂は犯人が男性だと思わせるために、わざと監視カメラに映った。上手く誤魔化せた、そう思ったが近藤が気づいてしまう。近藤は妻と妹の写真をチラつかせて1000万円を要求してきた。そして片野坂は近藤を殺してしまった。「これが真実です」という快に片野坂は「本当に残念だ」「大した証拠もなく、他人の気持ちを妄想し、ありもしない犯行動機をでっち上げるのは捜査とは呼ばない」「失望した」と言う。快が言っていることは妄想じゃないと次郎は証拠のガラケーを取り出す。動画には妹が姫花をスコップで殴るところが鮮明に映っていた。片野坂は「全部俺がやったんだ」と証拠のデータを取り上げようとする。片野坂に殴られても快と次郎は必死に片野坂を止めようとする。片野坂は実弾が入った拳銃を自らの喉元に突きつけると「俺が三人を殺した」「この罪は死んで償う、これが真実だ」と叫ぶ。「死んで逃げるなんて絶対に許さない」次郎は泣きながら訴える。快と次郎は、柳田に協力してもらい、妹と直接話をしていた。妹の名前は片野坂冬美、両親が離婚した今は橘冬美…。
快たちは冬美の証言を撮影した映像を流す。冬美は、すぐにでも自首しようと思ったと話す。冬美が自ら撮影したのは、自分が犯人だという証拠を残すためだったという。犯行後、朝になって携帯を回収しに行くと映像には父が姫花を埋める様子が映っていた。冬美は自分が自首したら父親まで罪に問われると思い、自首できなかったという。家族を守りたかったという冬美。天満の立て籠もり事件で、何の罪もない家族を壊してしまったという自責の念からもう隠すのはやめようと思ったと話す冬美は、父に本当のことを言いたかった、父からも本当のことが聞きたかった、父に謝りたかったと続けた。これを見た片野坂は涙を流す。そして「家族のためにも天満さんのためにも生きて罪を償ってください」という快の言葉に片野坂は泣き崩れる。「もう遅い、すまなかった」という片野坂は拳銃を手放し、「これを頼む」とビデオカメラを差し出す。そして「ありがとう」そう言うと血を吐いて倒れてしまう。そこへ柳田がやって来る。柳田は倒れた片野坂を見て、酸素ボンベを用意し、窓を開けて水を飲ませるよう指示する。柳田の処置で片野坂は何とか意識を取り戻した。「教官にまだ教わりたいことがたくさんある」快と次郎は涙ながらに訴える。
妻・晴美も娘・冬美も罪を認めたと聞いた片野坂は、柳田に両手を差し出して手錠をかけてもらった。そして「なあ同期、あのふたりを頼んだ」と言い残して搬送されていった。
快の手元には片野坂から託されたビデオカメラがあった。中には国枝が「私はかつての部下から殺人をしたと自白されたにも関わらず、組織ぐるみで隠蔽しました」と告白する映像があった。これにより、天満暁生の再審請求が認められたとテレビのニュースが伝えている。命がけで警察の闇を暴く、これがあの人なりの正義だと快たちは思う。
後日、快と次郎の処分について会議が行われる。退学処分だとする副校長に蘭子が全力で反対をする。校長に警察官になりたいか問われたふたりは「警察官になりたいです!!」と決意を述べた。蘭子は「今まで立派な警察官とは組織に従順な人間だと思っていた。でもそれは違った、お前らに教わった」「ありがとう」と言った。初めて褒められて驚くふたり。すぐに「3分以内に着替えてグラウンドに集合!」いつもの厳しい蘭子の声がとぶ。走って着替えに向かうふたりの後ろ姿を蘭子は微笑んで見つめていた。
『俺たちの時間が再び動き出した』これまで以上の熱意を持って訓練に励む快と次郎の姿があった。
【みんなの感想】
30代・女性
ついに終わってしまった~というのが最初の感想です。前回で片野坂は誰かをかばっているとは思ったけれど、まさか家族をかばっていたとは…。そして途中でなんで冬美が証拠を持っているのかな、同級生で託された?とかを考えながら見ていましたが、まさかそんなとは意表を突かれました。第一話のしかも最初の自己紹介的場面に伏線があったとはです。誰もが損得を考えてしまう日常で、人のためにがむしゃらに行動する快と次郎に気持ちをすっきりしてもらえるドラマでした。
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