主演:向井理
BSテレ東 (土曜日21時00分~)
【内容・ネタバレ含む】
【#02若い女】
探偵・黒崎竜司(向井理)はひとり路地裏でタバコを吸っている。少し離れた所では、後輩探偵・八神旬(前田旺志郎)が女性に聞き込みを行っていた。対象者は井川由紀菜(新田さちか)(23)。依頼者は、法曹界の風雲児と呼ばれる二階堂光彦(本多力)の母親・美沙子だった。美沙子は、20歳近く歳の離れた息子の婚約者・由紀菜が財産目当てなのではと心配していたのだ。八神達は、由紀菜の周辺を聞き込み調査するものの『至って普通のOL』という証言しか得られなかった。
翌日、黒崎が結婚相談所へ行くと担当アドバイザー・城戸まどか(成海璃子)に「吸いましたね、タバコ」と責められる。「前回の(破綻になった)理由、覚えてますか?」「全然吸っても構わないのですよ、全ては黒崎さんの婚活のためを思っての事ですから」城戸の突き放すような言葉に、黒崎は「肝に銘じます」と素直にタバコをゴミ箱へと捨てた。城戸は次のお見合い相手として、稲田明歩(佐津川愛美)(28)を紹介する。明歩の若さに尻込みする黒崎に、城戸は「大人の余裕を見せましょう」とアドバイスする。
翌日、二人はラウンジでお見合いをする。格好つける黒崎に、明歩は「怒ってますか?」「私の事タイプじゃなかったですか?」と不安そうに話す。「13歳も年下だから大人の余裕を…」早々にネタバラシをしていまう黒崎。これが明歩の緊張を解いたようで「どことなく父に似ているんです」と黒崎にお見合いを申し込んだ理由を明かす。その時、黒崎の携帯が鳴った。明歩は黒崎の携帯がガラケーである事に驚き、「(スマホで)黒崎さんとLINE出来たら嬉しいのに」と可愛く上目遣いをした。
黒崎は八神と共に由紀菜の張り込みをしている。由紀菜の生活は質素で、昼食は手作り弁当、会社が終わると真っ直ぐ帰宅するような生活を送っている。「とてもお金目当てには見えない」と八神は呟く。その後も尾行を続けるが、お年寄りや子供を助けるなど心優しい由紀菜の行動を八神は「完全に善人です!!」と所長・風見正芳(マキタスポーツ)に報告する。それを聞いた風見は「依頼者にそう報告しよう」と決めるが、黒崎が「まだ裏があるかもしれない」と助言する。黒崎は由紀菜の写真を見ながら「やっぱりこの顔どこかで…」と呟く。その時、城戸から電話がかかってきた。明歩から「交際OK」の返事があったのだ。
ファーストコールを黒崎から明歩にするよう指示された黒崎は、帰宅すると黒い小さな箱の前に正座する。意を決して箱を開けると中から神々しい光が放たれる。黒崎は遂にスマホデビューしたのだった。黒崎は、スマホ操作指南書を片手にLINEを使ってみようとするが『アプリ』が何か分からなかった。
翌日、結婚相談所に行った黒崎は、城戸にLINEの設定をしてもらう。そして明歩へと無事LINEを送る事が出来た。黒崎は城戸が結婚指輪をしている事に気がつく。城戸は夫と死別していると明かす。そして「夫との結婚生活が幸せだったからこの仕事についたのだ」と城戸は明るく話した。話している間に明歩から『LINE始めてくれたんですね』と喜びの返事が届き、黒崎も喜ぶ。城戸は「デート期間は長くて3ヶ月。その間に結婚するかを決めなくてはならない」「(明歩の)アドバイザーによると明歩はお洒落なレストランにも馴染みがあるようだ」と言う。黒崎は「…お洒落なレストラン…」と困惑の表情を浮かべる。
八神がある男性店員を追いかけている。男性店員が逃げ込んだ細い路地の先には黒崎が先回りしていた。男性店員は八神達の事を借金取りと勘違いしたようで、誤解が解けると聞き込みに協力してくれた。男性店員は、由紀菜の元カレだった。2年程前に付き合っていたようだ。由紀菜に財産目当ての結婚疑惑がある事を明かすと男性は「由紀菜に限ってそれはない。昔から借金まみれの俺と付き合った位だから」と証言する。
探偵事務所に戻った黒崎は「仕事の都合で」と前置きすると、風見に「一番美味しい店を教えてほしい」とお願いする。「刑事時代の同僚と」「刑事時代の同僚だからこそ」…黒崎は刑事時代の同僚をやたらと強調した。
そうこうして聞き出したお店で、黒崎と明歩は食事デートをする。緊張する黒崎とは対照的に明歩はとても楽しそうにしている。海外文学が好きだという明歩は、あまりメジャーでない作家を口にする。黒崎は咄嗟に知ったかぶりをしてしまった。しかし明歩は「食の好みだけじゃなくて趣味も一緒だなんて~」と感激する。「帰ったら本棚の写真を送ってほしい」と言う明歩のお願いに黒崎は「あ、あぁ本棚ね、いいですよ」と答えてしまった。
その後、黒崎は両手いっぱいに紙袋を持って帰宅する。書店のレシートは12万円となっていた。「こうなったら嘘を真実にするしかない」黒崎は机の上に買ったばかりの本を並べると写真を撮って送信する。『マニアックなのもある!!!』と明歩からすぐに返信が来た。そんな中、明歩から『ドライブに連れて行ってほしい』と言われた黒崎は『生きます』『イキます』『行きます』と苦戦しながら返事をする。そんなスマホに不慣れな点も明歩にとっては気にならないようで、嬉しそうなスタンプが返信された。
黒崎はこれまで机に置いていたアダルトなDVDを処分していく。その時、一つのDVDが目に止まる。『ガングロギャルRUKINA』のタイトルの女性こそ由紀菜だったのだ。翌日、探偵事務所に二階堂と母が呼ばれた。そして皆の前でこのDVDのインタビュー部分が再生される。制作会社から取り寄せた履歴書を見ても尚、二階堂は「嘘だ、おかしい」と事実を受け止められなかった。「若い女がこの子に近づくなんて可怪しいと思ったのよ」「早く目を覚ましなさい!!」母が喝を入れる。黒崎は違う意味で『若い女』という言葉が引っかかった。
数日後、黒崎は明歩とドライブに出掛ける。デート中、明歩は最近読んだ本の話をする。黒崎は一夜漬けで読んだ作品について話すが、明歩の表情がみるみる内に暗くなっていく事に黒崎は気づかなかった。明歩は申し訳なさそうに、黒崎が語った作品の作者が違う事を指摘する。黒崎は「申し訳ありません」「嘘をついていました。本当は文学には興味がありません」と正直に打ち明けて頭を下げた。すると明歩はその場にしゃがみこんで泣き出す。明歩は自分のために無理をしてくれた黒崎に「嬉しい」と涙した。
その後、二人は明歩が行きたいと言った場所に向かう。高台の上に設置された鐘にやって来た二人。明歩は「二人で鳴らすと幸せになれる」と話し、黒崎と明歩は一緒に鐘を鳴らす。その瞬間、黒崎は『幸せだ、これが結婚なのか』と妄想する。そして「半年後、実家の近くに鐘が素敵な教会が出来るんです。一緒に行きませんか」と明歩に言われた黒崎は『交際期間は長くても3ヶ月』と言う城戸の言葉を思い出す。「6ヶ月先、それはつまり…」と言う黒崎。明歩は上目遣いで「はい、行ってくれますか?」と尋ねる。黒崎は明歩の手を取り「行きましょう」と力強く答える。すると明歩は遠い目をして「行くのです、共に」と両手を広げる。教祖様のような明歩の言動に黒崎は困惑して「どこに?」と尋ねる。明歩は「天の導く方へ行くのです」と目を閉じた。胸の目で両手をクロスさせて「黒崎さん、神を信じますか?」明歩は言った。
帰宅した黒崎は呆然とソファに腰掛ける。テーブルの上には、明歩からもらったと思われる『ひかりの教え 入信のすすめ』という冊子が置かれていた。その時、黒崎の携帯が鳴る。
黒崎に電話をしてきたのは二階堂だった。二人はBarで会う。二階堂は「本当の由紀菜さんを見ていなかった」と感謝する。あの後、二階堂は全てを由紀菜から聞いていた。由紀菜がビデオに出たのは、奨学金だけでは学費が足りなかったからだった。「彼女の過去は変える事はできません。でも受け止める事はできる」「僕は今の由紀菜さんが大好きです」と言って二階堂は由紀菜に渡す予定だという婚約指輪を黒崎に見せる。黒崎が力強く頷くと二階堂は勇気が出た様子で店を後にした。
『全てを受け入れる覚悟を決めた』二階堂の様子を黒崎は自身に重ねる。そして意を決して『先日の件、直接会ってお伝えしたいです』とメッセージを送る。送信ボタンを押した黒崎の表情は晴れ晴れとしていた。そして妄想のウエディング・ベルが鳴る中、黒崎は笑顔で走り出す。
それから2日後、黒崎は正座してスマホを眺めてる。一昨日、明歩へ送信したメッセージはまだ既読になっていなく返事もない。黒崎が城戸に相談すると、城戸はLINEを確認して「ブロックされてます」と告げる。そして城戸は「他の会員様にも新興宗教に勧誘していた事により、明歩さんは強制退会させられました」と続ける。「彼女の全てを受け入れると決めたんです」「彼女が何者でもいい」と聞く耳を持たない黒崎を城戸は咄嗟にビンタする。そして「盲目的に受け入れれば良いというものではない」「結婚というものをもっと大切に扱うべきです」と諭す。黒崎は我に返り、反省する。
一方、明歩は黒崎が勘違いしていた作品を楽しそうに読んでいた。黒崎がひとりBarに居ると二階堂がやって来た。二階堂は「もう遅かったみたいです」と肩を落とす。そして黒崎からタバコをもらうとゴホゴホと咳き込みながら吸う。「確かに良い作品でした」二階堂は由紀菜のDVDをテーブルの上に置く。黒崎は「私の話もいいですか?」と入信のすすめをテーブルの上に置く。そして二人は酒を呑んだ。
【感想】
30代・女性
暗い雰囲気の中で軽やかに進む話が巧妙。
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