主演:上白石萌音
TBS系 (火曜日22時00分~)
【内容・ネタバレ含む】
【#10夢に向かって】
潤之介 (玉森裕太) と別れた奈未 (上白石萌音) は、泣きはらした目で出社して覇気もなく、編集部の仲間に心配される。撮影現場でもカメラマンやモデルの付添に来ていた白い犬が潤之介に見えてしまい、かなり重症の“潤之介ロス”に陥っている。心配した和泉(久保田紗友)はハンカチを差し出して「ロスは他の何かで埋めないと」と励ます。そして奈未は昨夜の中沢の言葉を思い出した。
昨夜、思い出のベンチで泣く奈未のもとに「お前がまた泣いてる気がして」と現れた中沢 (間宮祥太朗) は「仕事をするって事は、夢を見るって事は、何かを諦めなきゃならない時もある」「そんな大事なものを諦めたんだからちゃんと夢叶えないとな」と優しくハンカチを差し出したのだった。
奈未は『自分で決めた道なのだから』と気合を入れ直す。それでも『潤之介さん新しい仕事頑張ってるかな』と気になってしまう。同じ頃、潤之介は父・勝之介 (宇梶剛士) と共に取引先との挨拶回りや商談など、多忙なスケジュールをこなす日々を送っていた。
麗子 (菜々緖) が去り、高橋 (高橋メアリージュン)が新編集長になってからMIYAVIでは、ブランドからの広告出稿の見送りが続出していた。責任を感じた高橋は「結局は麗子じゃなきゃダメなのかも」「でも私にもプライドはある」と自ら退く意向を宇賀神 (ユースケ・サンタマリア) に伝える。「私は麗子のものが欲しかっただけなのかも、MIYAVIもあなたも」高橋は素直な気持ちを吐露した。「とにかくMIYAVIに必要なのは麗子よ」高橋の強い後押しもあり、宇賀神は麗子に備品管理部から編集部に戻るよう打診する。ところが「私は責任を取ることでしか生きられない人間なんです」麗子の気持ちは変わらないようだ。
編集部では、高橋も去ってしまったため半田(なだぎ武)が編集長を務めることになり、半田を含め皆が不安な気持ちを抱く。そんな中、前情報は一切出していなかった極秘企画である次号の表紙写真がネット上に流出していることが発覚する。大物女優の娘・hinata(小野莉奈)がMIYAVIで鮮烈デビューを飾る、MIYAVIにとっても一大サプライズ企画だった。hinata側は計画が台無しだとご立腹でこの企画は一旦白紙となってしまった。このピンチを乗り越えるべく、奈未と半田は麗子に助けを求め頭を下げる。「私には関係ない」と麗子は厳しい態度で相手にしない。しかし立ち去る前に「ねぇ、写真が世に出ることがそんなにまずいこと?」とだけ言った。
その夜、編集部員一同は最悪のトラブルを抱えつつも居酒屋に集まっていた。臨時で編集長となった半田の就任祝いかと思いきや、そこに現れたのは潤之介。潤之介ロスな奈未を心配した和美(秋山ゆずき)が尾芦(亜生)に頼んだのだった。ふたりは隣に座るも気まずい空気が流れる。和美達のアシストで潤之介は、父にびっしり決められたスケジュールによって挨拶回りや会議、商談に忙しくしていると近況を話す。そして「父が本当に仕事を継がせたかったのは俺じゃない」と明かすも潤之介は「奈未ちゃんも仕事頑張って」と言うとすぐに帰ってしまった。立ち去る潤之介を中沢が呼び止めると「ちょっと寄って行かない?」とラーメン屋に誘った。中沢は以前、潤之介とした撮影時を振り返り「カメラマンって仕事に楽しさと誇りを感じているようで格好よかった」と言う。そして「奈未ちゃんにはやりたい事があるから仕方ない」という潤之介に「お前が伝える努力しないと何にも進まないんじゃないか」と中沢は投げかけた。
一方、帰宅した奈未は母・真未(宮崎美子)と電話していた。「荷物を送ったから潤之介さんと食べてね」という真未に奈未は潤之介と別れたことを伝え、「これからはちゃんと仕事して人並みの普通の人生を歩む」と話す。そんな奈未に真未は「どの道を進んで誰と一緒になっても、奈未がそこでしっかり生活していればそれが奈未の普通になる」「どんな道を選んでもずっと奈未の味方だ」と優しくアドバイスした。その夜、奈未は潤之介のブレスレットを引き出しにしまった。気持ちを封印するように…。そしてMIYAVIを手に「私の選んだ道」と決意を改める。
翌日、奈未は高橋と一緒にhinataに謝罪をする。ところがhinataは「逆に宣伝になった」と気にしていない。編集部では、hinataの再撮影許可は出たものの初顔出しじゃなくなった今、インパクトに欠けると皆は頭を悩ませる。すると奈未は「流出した写真を逆手にMIYAVIの宣伝に使い、さらなるサプライズを仕掛けるのはどうか」と提案する。その先のサプライズまでは思いついていなかった奈未だが、奈未の前向きな一言で編集部に活気と笑顔が戻る。流出した写真と反対に顔をほとんど映さない事で神秘性を持たせるコンセプトが高橋に認められて、和美達は一安心する。翌日、麗子が出社すると机の上に次号MIYAVIのゲラが置かれていた。ゲラを返しに編集部へやって来た麗子は「どうして私が読まないといけないの?私はもうあなた達の編集長じゃない」と言い放つ。すると中沢が「MIYAVIにはあなたが必要です」と言うが麗子はそのまま立ち去ってしまう。奈未は麗子を追いかけ「私も小さいけど記事を書きました。編集長に教えてもらったこと全部詰めました。どうしても読んでほしいです」とゲラを強引に渡した。麗子がエレベーターに乗っていると宇賀神が乗ってきた。宇賀神は「あまり責任を取りすぎると他の人が取る責任がなくなってしまう。周りを頼ってほしい」「完璧じゃなくていい」と話す。そして「ちなみに僕ならいつでも頼ってくださいね」と言うとエレベーターを降りていく。麗子は備品管理室に戻るとゲラを興味なさげに机上に置く。ところが「編集長に教えてもらったこと書きました」という奈未の言葉が頭をよぎり、ゲラを読み始める。ページをめくる麗子の表情は穏やかで、わくわくと雑誌を見ていた10年前のことが思い出される。次第に涙が止まらなくなり、パリへ行く前父に反対されて流した涙へと繋がる。ゲラに【鈴木奈未】の名前を見つけた麗子の表情は娘の成長を喜ぶ母のようでもあった。
数日後、いつも通りの編集部にハイヒールの音が響く。「読ませてもらった」とゲラを手に編集長・麗子が帰ってきた。「時代が変わっても変わらないものは、作り手の情熱」「夢の一瞬を提供すること、あなた達が作ったMIYAVIにはその力がある。とても素敵な時間だった」と麗子は称賛する。そして「もう一度やらせて、あなた達と一緒に」と麗子が話すと皆は拍手で迎え入れ、「おかえりなさい、編集長」と奈未は笑った。その後の企画会議では、和泉の提案が麗子に受け入れられて奈未は自分の事のように喜ぶ。それからというもの奈未は、麗子の雑用に忙しくも充実感を感じ、和泉も中沢のアシスタントとして喜びを感じているようだ。そんな活気あるMIYAVI編集部を高橋は嬉しそうに見つめていた。校閲・小笠原さんも加わり、皆が見守る中麗子がチェックを始める。そして無事【責了】となり、皆は大はしゃぎする。その時、奈未の携帯に尾芦から電話が入り、尾芦に「奈未ちゃん、ちょっといいかな」と言われる奈未。
一方、潤之介は理緒(倉科カナ)の付添で病院へやってきた。理緒の手首はプロの演奏家としてはやっていけない程になっていた。それでも「夢に向かって頑張れたことは後悔していない」という理緒の言葉に「そっか」と返すと潤之介は理緒の荷物を持って歩き出す。理緒に「潤ちゃんは後悔してない!?」と問われた潤之介は立ち止まる。病院に付き添ってもらったのは最後にいっぱい優しくしてもらって踏ん切りをつけるためだったと理緒は明かす。「わがままばっかりごめん、私はもう大丈夫」潤之介の手から荷物を取ると「潤ちゃんももっとわがままになっていいんだよ」と言う。そして理緒は「頑張れ、宝来潤之介」と送り出した。ひとり病院を後にする潤之介に尾芦から電話が入る。潤之介が電話に出ると相手は奈未だった。尾芦に見守られながら奈未は「潤之介さん、お願いがあります。私の彼氏になってください。フリで良いんで、明日だけ」とお願いする。
翌日、待ち合わせ場所にやって来た奈未は「今日は一日だけですけど、よろしくお願いします」と頭を下げる。「実は行きたいところがあって…」と余所余所しい奈未の手をつなぐと「行こう!」と潤之介は走り出す。「風船で白い犬作ってもらおう」、「初めてのショッピングだね」、「俺甘いもの好きなんだ」「知ってます…健ちゃんのケーキ全部食べちゃったし」、ふたりは飾らないデートを楽しむ。そんな中「今日、彼氏をお願いしたのは潤之介さんが金沢に帰る前に一緒に行きたい場所があるんです」と奈未が切り出す。そして奈未が潤之介を連れてきたのは貸倉庫。「昨日、尾芦さんに連れてきてもらって」と奈未は説明する。奈未が倉庫の扉を開けるとそこには潤之介の写真がたくさんあった。どうしても捨てられなかったと尾芦が倉庫を借りて保管したのだった。「潤さんはね、人の痕跡が好きなんだよ」と尾芦は写真を見る奈未に説明する。「本当は写真が好きだから、これを全部捨てて未練を断ち切ろうとしているんじゃないか」尾芦は涙した。そのことを思い出しながら奈未は「夢に蓋をして笑えなかったら意味がない、潤之介さんには笑っていてほしい」「私はあなたの笑った顔が大好きです」と潤之介に訴える。倉庫を後にして、潤之介はひとりあのベンチに座った。
後日、金沢の実家で潤之介は「よろしいでしょうか」と父に切り出す。そして「父さん、ごめん。会社は継げない。やっぱり写真の道に進みたい」「もう逃げたくない」と告げる。するとそこへ麗子がやって来て「潤之介の幸せを願うなら、家のためじゃなくて潤之介のために人生を使わせてあげてほしい」と加勢する。「上手くいかなくても無駄じゃない」勝之介はふたりを優しく抱きしめた。その後、麗子は「新生MIYAVIが軌道に乗ったら出そうと思っていた」と退職願を宇賀神に渡す。そして「あなたを頼らせてください。私を支えてください」と続ける。「それはビジネス面で、それとも…」という宇賀神に麗子は通称・悪魔の微笑みをして見せた。編集長室で荷物をまとめる麗子のもとに「今までお疲れさまでした」と奈未がやってきた。「あなたのお陰で素敵な雑誌を作ることができた、ありがとう」麗子はこれまでの奈未の熱心さを思い出して心からの感謝を述べる。その言葉に涙する奈未に「やっと離れられる」と麗子は憎まれ口をたたく。「ちょっと~、涙引っ込んじゃったじゃないですか」という奈未に、麗子は潤之介がカンボジアでカメラマンになるために今日日本を発つことを教える。慌てて走り出す奈未だが、半田達に呼び止められてしまい断れずに困っていると中沢が「鈴木!何か来てるぞ」と声をかけた。奈未が中沢の指す方を見るとそこには潤之介の姿があった。どうしていいか分からず固まる奈未の背中を中沢が力強く後押した。潤之介は「カンボジアのNGOの広報をしながら、もう一度カメラマンの道に進もうと思う」と決意を告げて、奈未のお陰で決心出来たことを感謝する。そして「俺、やっぱり奈未ちゃんと笑っていたい。だから奈未ちゃんのところに戻ってくる。待っててくれる?」と微笑む。「ズルい、潤之介さんはいっつもズルいです」奈未は怒り出し、潤之介は予想外の展開に驚く。「待ってるに決まってるじゃないですか、いつまででも待ってます」奈未は涙ながらに答えた。「好きだよ、世界中で一番」「私も大好きです」と抱き合うふたりを編集部のみんなは祝福する。そこには微笑む麗子の姿もあった。
ーー3年後ーー
社名は変わったが、いつものMIYAVI編集部には変わらぬメンバーの姿があった。『ドS先輩のツンデレ日めくりカレンダー』を手に「本当に作っちゃうとはね」と皆和気あいあいに話す。そこへ半田が「編集会議始めるから」とやって来て、編集長どうぞと招き入れられる。そこに編集長として現れたのは和美だった。和美に促されて「3年半という短い間でしたがありがとうございました。MIYAVIは私の夢の原点です」と編集者・奈未が挨拶した。そしてとあるビルの一室。「本日よりお世話になります。鈴木です」と扉を開けるとそこには社長・宇賀神が居て「よろしく頼みますよ」と声をかける。「あなた、まだこの仕事辞めてなかったの!?」と編集長麗子も居た。「編集長のアシスタントは私ですから」奈未も負けずに言い返す。奈未の左手薬指には、あの日潤之介から渡された指輪が輝いている。しかし、落ち着いたら連絡すると言っていたのに未だ何の連絡もしてこないようで、『さすがに待たせ過ぎでは』と奈未は思う。そして帰宅すると、部屋探しをする予定だった妹・多未(山之内すず)が待っていた。多未は「これ知ってる?」とYouTube動画を見せる。そこには公認会計士を辞めてYouTuberとなった幼馴染・健ちゃん(犬飼貴丈)が映っていた。それを微笑ましく見ていた奈未は突然表情を変えて部屋を飛び出す。動画の背景に写り込んでいた【やっぱりカンボジアへ行こう】という航空会社の看板がある場所にやってきた奈未は、写真の右下に入った『Photo by junnosuke horai』のクレジットを見ると「やっぱり」と呟いて再び走り出す。その写真にもベンチが写っていたからだ。思い出のベンチにやってきて「やっぱり居る訳ないか」と奈未はつぶやく。ベンチに近づくとベンチはペンキが塗り直されていてあの時の跡はなくなっていた。奈未が座ろうとすると「あっ、ペンキ塗りたての」と声がして反射的に奈未が立ち上がると声の主は潤之介。「奈未ちゃん驚かそうと思ったのに、こんなところで会えるなんてこっちが驚いた」と潤之介は笑う。「やっぱり潤之介さんはヒーローみたいだ。会いたいときに必ず会いに来てくれるから」と喜ぶ奈未に潤之介は「俺にとって奈未ちゃんが特別だからだよ」と答えた。キスしようとしたふたりはふと視線に気づく。小さな男の子に見つめられたふたりは照れ隠しをするように微笑み、ベンチに腰掛けた。すると潤之介がある物に気づき、拾い上げると『注意!!ペンキ塗りたてです』と書いてある。ふたりが驚いて立ち上がるとふたりのお尻にはベッタリとペンキがついている。笑うしかないふたり。すると潤之介が不意打ちに奈未にキスをした。潤之介に抱き上げられた奈未、ふたりはもう一度キスをする。まるで映画のワンシーンのように…。
【みんなの感想】
30代・女性
全体としてハッピーエンドでよかったな。と思うものの麗子のシーンで湧き出てきた涙が引っ込んでしまうややチープな部分が残念。前回のプロポーズ→破局とか家を継ぐとかの必要性が感じられない。ほらやっぱり元サヤじゃんと思ってしまったし、麗子も潤之介も継がないなら何も変わらないじゃんただ周囲を巻き込んで大騒ぎしただけじゃんと感じた。和泉と中沢は報われてほしいと思う反面、あまりにもすんなりとくっつく様子もやや残念。奈未のことあんなに想っていたのに…。仕事も恋もブレずに一途に想い続けた奈未は素敵だった。最後、宇賀神と麗子は公私共にパートナーとなったのかな?「これからはやりたいように雑誌を作る」と会社を辞めた麗子だけど、MIYAVIでも割と思い通りに作ってたよね!?と疑問も。と細かいところが気になったが、トータルして、一生懸命に頑張る子がちゃんと評価されて恋も仕事も諦めないで手に入れたいという女の子の気持ちが体現されていたのでよかった。真似は出来ないけれど麗子や奈未達のファッションも毎回楽しかった。
30代・男性
誰も傷つかない展開は今どきというべきか、まあ楽しめた。