主演:比嘉愛未
フジテレビ (木曜日22時00分~)
【内容・ネタバレ含む】
【#07】
お互いが自分の気持ちに素直になれていなかった事に気づいた航(渡邊圭祐)と泉美(比嘉愛未)。ふたりはお互いを思いやれていなかった事を謝る。そして「もしかしたら俺…」航が言いかけた時、泉美の携帯に杏奈(白石聖)が倒れたと連絡が入る。航は泉美の指示で、過労で倒れて病院で治療を受けた杏奈を自宅まで送り届ける。航は、大学の勉強とインターンとしての仕事を両立させようと頑張ってきた杏奈をねぎらうと、何かあったら頼ってほしいと告げて帰っていく。
その頃、航の事を好きだという杏奈の気持ちを知っている泉美は、航の事を気にかけてやきもきしていた。するとそこへ『杏奈を家まで送りました。もう大丈夫だと思います』と航からのメッセージが届き、ホッと胸をなでおろす。そして泉美は、航への返信に『今日はどこに泊まるのか』と打ちかけるが、それを消去すると『ありがとう』とだけ打って送信した。
翌日、社長室にやってきた航は「もう少しだけ一緒に居させてほしいです」と次の給料が出るまでの間もう一度同居させてもらえないか頼む。泉美は「いいよ、じゃああと一週間だね」と了承する。
一方、社内では、芽衣(徳永えり)やマリ(佐野ひなこ)が、社内コンペで決定する『恋する森の中へ』の新キャラクターのデザインを着々と進めている。コンペに参加しているはずの航だが、芽衣たちのデザインが気になり、気持ちばかりが焦るもののまだ何も描けていなかった。同じ頃、泉美は、光井(ディーン・フジオカ)に、航と和解することができたと報告する。光井は、泉美が明るさを取り戻していることにすぐに気づき「泉美ちゃんは分かりやすいな」と言う。光井は微笑ましく思いながら社長室を後にするが、泉美には光井の言葉の意味が分からなかった。
その日の夜、先に帰宅した泉美は意味もなくソファーのクッションを整えたりして落ち着かない様子だ。そこへ航が「お邪魔します」とスーパーの買い物袋を掲げながら帰ってきた。「迷惑をかけないように食事くらいは用意しようと思って」と言う航と一緒に泉美はキッチンに立つ。泉美はふと『もしかしたら俺…』の言葉の続きが気になったが、航との関係を崩したくない気持ちからこの事を口にすることを止める。
サラダを作っていた航はドレッシングと勘違いして大量のバルサミコ酢をサラダにかける。知ったかぶりする航に泉美はサラダを一口食べさせる。「…すっぱい」と悶絶する航とはしゃぐ泉美。泉美は『今この時がずっと続けば良い』と思った。
数日後、杏奈が復帰して来た。杏奈は、どんどん進化していく航と自分を比べて焦っていたと言う。杏奈のインターンも残り僅か。「もちろん就活はペガサスインクにエントリーします」と意欲を見せる杏奈に、泉美は「期待して待っています」と答えた。
社内で航はデザインを描きながら悩んでいた。描いては消してため息をもらす航に気づいた光井は「じっくりやってみろ」とアドバイスする。その夜、泉美が帰宅すると航がリビングでデザインを描いていた。航は2パターンのデザインを泉美に見せてどちらが良いか尋ねる。泉美が答えた方は、航が良いと思っていた方ではなく「こっちかぁ」「でもこっちの方が良く思えてきた」と航は呟く。泉美は「航君が自信を持ってプレゼン出来る事が大事だ」とアドバイスする。その時、航の脳裏には学生の頃「ごめんね…航」とだけ言い残して家を出て行った母の姿が思い出された。
翌日、ペガサスインクに激震が走る。SNS上に『ラブマイペガサスは日高泉美に盗作された。私の方が先に企画し、ネットにUPしていました』という書き込みを発見したのだ。誰かを真似したなんて絶対にあり得ないのだが、ネット上ではあり得ない速さで拡散されていく。「こっちの企画書の日付をUPして対抗しよう」航の意見に泉美は「いや、何もしなくて大丈夫」「私達は間違っていない、その事実があれば大丈夫」と強く答えた。
スタッフの手前、気丈に振る舞っていた泉美だが、社長室でひとりSNSの誹謗中傷を読み、落胆する。そこへ航がやって来た。泉美は航に悟られないようにいつも通りに振る舞う。すると航が「俺は嫌です。泉美さんが色々批判されるのは嫌です」「頑張ってるのに知りもしないで、ふざけるなって思う。泉美さんは良くても俺は良くないです」と告げる。泉美は「ありがとう」と答え、航の優しさに胸が温かくなった。
帰宅して続きのデッサンをすると言う航に杏奈は「ちょっとだけ寄り道しない?」と誘う。杏奈は商店街でコロッケを買って食べ歩きをする。「昔、近所にあったお肉屋さんの味に似てる。懐かしい」と笑い合うふたり。航は杏奈が気分転換のために連れ出してくれたと気づいて感謝する。そして航は「泉美さんや皆に認めてもらいたい」と話す。地下鉄の入口で航は「今日は歩いて帰る」と言って杏奈と別れる。航の様子に杏奈は違和感を感じた。
泉美が帰宅すると、航はデザインを見せて泉美にアドバイスを求める。泉美は「私の言う通りにしなくていいんだよ。航君の思った通りで」と答えるが、航は自信のない表情を浮かべる。「これだけやって認められなかったらと思うと」と航は不安を口にする。不安の原因は航の過去にあった。子供の頃から絵を描くのが大好きだった航。夢中に描く航に母は「上手ね」と笑いかける。中学、高校も美術部だった航。「自分の絵を見て母さんが笑ってくれるのが嬉しかった」と航は振り返る。父の会社が倒産し、母が苦労していた事も分かっていた。ある日、コンクールで賞状を貰った航は母を笑顔にさせようと意気揚々と帰宅する。ところが、母は「ごめんね…航」と言って出ていってしまった。当時の航は、厳しい状況ではあるものの自分の絵が何かを変えられるかもと思っていた。
この出来事以降、航は全てを諦めてしまうようになった。その不安は今でも続いている。「俺が何かしてもきっと何も変わらないってどこかで思ってる」航は明かす。すると泉美からは「そうだね、誰も私に期待なんてしてないって思ってた」と予想外の答えが返ってくる。泉美は「乙女ゲームに出会って周りの評価なんてどうでも良くなった」「何かを好きになる気持ちは儚い。だからこそ生み出すエネルギーが大きい」と続け「航君の過去は誰にも真似できない経験であって、武器になる。必ず活かせる」と力強く言う。「航君にしか描けないデザイン、私は見てみたい」「だから怖がらずに一歩踏み出してみて」泉美の言葉は航を突き動かす。その日、航は遅くまでデザインの制作に夢中で取り組んだ。
翌日、杏奈が社長室へやって来た。杏奈は言い難そうに「…社長と航君はどういう関係ですか」と切り出す。昨日、杏奈は歩いて帰ると言う航の後をこっそりつけたのだった。すると航は慣れた様子で高級マンションへと入って行った。驚いた杏奈がマンションの前でしばらく待っている時、泉美も同じマンションへ入って行くのを目撃したのだった。「私と航君の事、応援してくれるって言ったのに」と疑う杏奈に、泉美は「家がなかったから居候しているだけ」「疑われたくなかったから皆には内緒にしていた。明後日には出ていく事になっている」と言い訳する。「そういう事じゃなくて…本当はどうなんですか?」杏奈に問われて泉美は「航君も杏奈ちゃんも大事なスタッフだよ。二人の事を応援している」と答える。
社内では、有栖川(瀬戸利樹)が「あっ!!」と驚きの声を上げる。何事かと皆が集まると、例の盗作疑惑について発信者の嘘を、ゲームのファンが暴いていた。「何もしなくてよかった」皆は一安心する。泉美の言った通りだった、そんな気持ちの航は『怖がらず一歩踏み出してみて』と言う泉美の言葉を思い出して閃く。
迎えたプレゼン当日。ペガサスインク社に、ランタンホールディングスの担当者達がやって来た。ランタンの担当者2名と泉美、光井の4名によって審査が行われる。芽衣やマリはハキハキとプレゼンを行い、審査員達からも良い反応を得る。最後に緊張の面持ちで航のプレゼンが始まる。航が考えたキャラクター【月・ルナ】について「両親を亡くして一人ぼっち、昔は何をするにも自信がなくて人と比べてばかりだった。夢を見る事さえ諦めていた」と説明する。「でも自分と向き合う事が出来たとき生まれ変われた。月には後ろ向きな気持ちはない。今の自分を作ってくれた全ての事に彼自身が感謝出来るようになったからです。そして誰よりも今を楽しむと決めました」そう話す航自身が、最初の緊張から解き放たれて堂々としている。その様子に泉美は、胸が熱くなる。
審査の結果、満場一致で航のキャラクターが採用になった。「3人の中で一番感情移入が出来た」「素晴らしい人物設定だった」「一番奥行きがあって可能性を感じた」審査員の評価に航は驚く。芽衣も「悔しいけどあのプレゼンには敵わないな」と心から祝福する。
「正直、驚いたよ」社長室で光井は泉美に本音をもらす。泉美も「成長したのね」としみじみする。「育成は大成功。ゲームで言ったらTrue Endだね」光井の褒め言葉を聞いた泉美は悲しそうな表情を浮かべる。「そうだよね、True End」「もう今の彼ならどこへでも羽ばたいて行ける」「このままじゃ…いけないのかな」泉美は言った。
泉美はプレゼントを買って帰宅する。それからだいぶ遅くなって、航が帰宅した。テーブルにはリボンのかかったワインとワイングラスが2個置いてあり、泉美は待ちくたびれてソファで寝てしまっている。航は自分のために用意してくれたと分かり、嬉しそうに微笑む。そして泉美にブランケットを掛ける。航は寝ている泉美の頭を撫でようと伸ばした手をすっと引っ込める。そしてリュックからスケッチブックを取り出すと、泉美のデッサンを始めた。
デッサンが完成すると同じタイミングで泉美が目を覚ます。泉美は「もしかして私?やっぱり上手だね」と嬉しそうに笑う。「航君目線で描いてくれたんだね、ありがとう」真面目な表情で泉美が言うと航は「気づくと泉美さんの事ばかり考えていた」と話す。「嬉しい事があった時最初に知らせたいのも泉美さん、悲しい事があった時真っ先に会いたいのも泉美さん」「ずっと認めてほしいって思ってました。これからもずっと側にいて色々教えてください」「泉美さんの事が好きです」航の真っ直ぐな告白に泉美は言葉を失う。暫く間を置いて、泉美は首を横に振る。そして「…あなたは私から卒業しないと」と告げる。「意味が分からない」と反対する航に泉美は「今日で最後。教える事はもう何もない」と泉美は拒否する。そして「航君が私の側に居たいと思うのは刷り込みであって恋愛じゃない」「尊敬してくれていたのならありがとう。でもそれは好きとかとは違う、誤解している」「あなたは私の器の中でしか大きくなれない」と突き放す。航は「俺はそれでいい」と言うが「それが駄目なの。あなたの人生は私が作るものじゃない。あなた自身が作るものだから」「ここからは別々の道を歩みましょう」「あなたはあなたの道を歩んで」泉美は嫌がる航を拒否し続ける。「ありがとう」そう言って泉美は自分の部屋へと立ち去る。
泉美は自室で眠れない夜を過ごした。そして航は放心状態のまま、泉美の部屋を出ていく。航が出て行ったリビングにやって来た泉美。テーブルに置かれたデッサンを見つけた泉美は、それを抱きしめて号泣する。
【感想】
30代・女性
若い航の気持ちをそれは勘違いだと突き放した泉美は、やはり大人だなと思う。どこかに報われなかった母からの愛情を求めている部分が見て取れたし、今のふたりは対等な関係ではないと感じる。でも鎧を脱いだ泉美は、きっと純粋に航に惹かれているだろうし、最後の号泣は観ていてぐっと来た。