主演:本仮屋ユイカ
テレ東 (土曜日23時25分~)
【内容・ネタバレ含む】
【#06覚醒】
ある朝、亮(白洲迅)がキッチンへ行くと夏奈(本仮屋ユイカ)は3つの一輪挿しに白いバラを生けていた。同じ頃、木芽(浅田美代子)のクリニックに唐沢(青柳翔)がやって来た。「ご予約は…」と引き止める受付の女性を無視して唐沢は乱暴な足取りで木芽に近づく。そして「隠したな」「あの子の本当の両親失踪だって」と脅すように耳元で囁いた。木芽は口を割らなかったようで唐沢は「クソっ」と暴言を吐きながらクリニックを後にする。唐沢とすれ違った阿久津(おかやまはじめ)は、嫌な予感がして歩速を速めクリニックへ入っていく。「(唐沢は)患者さんで」と誤魔化す木芽を心配する阿久津に木芽は「騒ぎを大きくしたくない」と制した。
夏奈の携帯へ木芽からメッセージが届く。何かあったのかと心配する亮に夏奈は「ちょっとした親子喧嘩」と答えた。そんな夏奈に亮は「ちゃんと仲直りしてきなよ」と優しく言う。夏奈が出掛けると亮は、唐沢の言いつけ通りに脅すネタになるものを探し始める。そこへ電話を掛けてきた唐沢は、「自分の方で探したいことがある」という亮に裏庭の鍵を開けておくよう指示した。
そして玄関の外に居た亮は、出版パーティに出掛けるという孔雀(斉藤由貴)に「いってらっしゃい」と朗らかな笑顔を向ける。同じ頃、夏奈は木芽とレストランで食事をしていた。夏奈は「お母さん、私に隠してることない?」と問うが木芽は「今更、私とあなたの間に隠すことなんてない」とはぐらかす。すると夏奈は姿勢を正して「木芽さん、木芽さんって私と同じで強いでしょ、少しくらいの傷なら痛くても我慢しちゃう」と話し始める。「忘れようよ」木芽は遮るが「私は覚えてる、自分の犯した罪」と夏奈は続ける。
亮は孔雀の家へ侵入する。手当り次第に引き出しの中を探していると「探し物は見つかった?」と孔雀の声がする。「せっかく来たんだからゆっくりして行けば?久保田奏くん」孔雀は言う。孔雀は奏が亮に成りすましている事を見抜いていたのだ。「最初に冷凍庫に入っていたのは俺です」観念したように亮が話す。冷凍庫に入れられて仮死状態だった奏を助けたのは亮だった。そしてあろうことか奏は亮を締め殺すと自分の代わりに冷凍庫に入れた。「でもあなたも同じ穴の狢になっちゃった」孔雀に言われて奏は不自然に孔雀から目線をそらす。「先生の言う通りかも、亮に成りすましているうちに自分でも分からなくなって…」と言う奏は本当にどうしたら良いか困っているようだ。
すると孔雀は「これは私が書いた小説だと思って聞いて」と前置きをして話し始める。あの家には祖父とお母さんとあの子が住んでいた。あの子が中学3年生の頃、おじいさんが亡くなって母親が再婚すると新しい父親が家にやって来た。父親のフラストレーションは全て母親とあの子に向けられ、暴力を振るわれていた。母親はあの子を守れなかったが一人だけ、児童擁護施設のカウンセラーとして働いていたあの人だけがあの子を守ることが出来た。
そしてあの日、父親は激しい暴力を母親に振るっていると誤って母親を殺してしまった。その瞬間、夏奈の中で張り詰めていた糸がぷつりと切れた。沸騰していたやかんの湯を父親に浴びせると電気コードで父親を絞殺してしまう。我に返った夏奈は「助けてください」とカウンセラー・木芽に助けを求めた。そしてその後木芽は天涯孤独になった夏奈を養子にした。
「あの家で何があったのか、本当の事は私にもわからない」孔雀は言う。
レストランの木芽は「(何でも自分で対処しようとする夏奈が)人生で一度だけ助けをもとめた、それが私だった」と懐かしむ。夏奈は「一度ではない、今回も」と言うが、それを木芽は否定して「私があなたに惹かれていたのかも」と答える。その言葉に肩の力が抜けた夏奈は「この数日気づいた事があってね」と笑みを浮かべる。「私は綺麗な生き物でいたいってただそれだけを思って生きてきたんだと思う」と告白すると夏奈は木芽に手を差し伸べて「ありがとう」と感謝する。
同じ頃、裏庭の窓から夏奈の家に土足で入り込んだ唐沢が家中を捜索していた。唐沢は音が異なる床に気づき、床板を上げるとそこには亮の遺体と白骨化した二人分の骨があった。唐沢が笑いを堪えているとそこへ「何やってるんですか」と夏奈が帰ってきた。唐沢は「夏奈さん、すごいよすごい」「あんた悪魔だね、俺達いいパートナーになれるんじゃないかな、付き合わないか」と夏奈に言う。夏奈はゆっくりと唐沢に近づくと「私の人生を邪魔する人、いりません」とハンマーを振り下ろした。
『おしゃべりはやめて お静かに』孔雀は書き上げた分厚い原稿を暖炉の火に入れ「これであなたの物語もやっと終わる」とつぶやく。そして「いや、もしかしたら始まるのかもしれない」と考えを改める。その頃、裏庭の窓から奏がそっと帰ってきた。部屋の中には純白のウエディングドレス姿の夏奈がいて「上げてくれない」とドレスの後ろを閉じるように依頼する。バラの一輪挿しは4つに増えていた。「結婚式は予定通りだから」という夏奈。奏は「その前に言っておきたい事があって」と言いかけると夏奈はそれを「大丈夫」と遮る。そして「あなたを縛るものはもう何もない、安心して」と言う。その時、床下から携帯のバイブ音が鳴り響く。床を気にする奏を引き止めると夏奈は奏にキスをする。そして「どっちでもいいんだから。私がこの先ずっと幸せでいられるなら亮でも奏でもどっちでもいいんだから」と言う。「俺が幸せに出来なかったら」戸惑う奏に夏奈は「そうだな…こっちはもういっぱいなんだな」「あっちかな」と指差した。その先にはあの冷凍庫があった…。
【みんなの感想】
30代・男性
夏奈が一番サイコパスな展開は予想外。面白かった。
30代・女性
面白かった!!最初は時空移動的な話かな、夏奈が翻弄される物語かなと思ったら意外や意外。最後の「あっちかな」なんて最高に怖い。奏さん最初とは完全に立場逆転でこの先どんな人生を歩むんだろう…心配。美しくも怖いかつ猟奇的な夏奈、大人しいイメージの本仮屋さんにぴったりだった。漫画の原作があるとはいえ、これだけ少ない役者さんで深いドラマになるなんて素晴らしいの一言。