【向こうの果て】最終話 感想ネタバレ(主演:松本まりか)

2021春のドラマ一覧

主演:松本まりか
WOWOW (金曜日23時00分~) 

【内容・ネタバレ含む】
【#08太陽だった女】
ー東京地検中央支部ー
取り調べ室の律子(松本まりか)は「お父さん…そう言ったんだって……お前は生きろって」「お父さんは確かにそう言った」と目から大粒の涙をこぼす。

ー昭和37年 青森県弘前市ー
律子の父・喜平(塚原大助)が寝ている間に部屋中へ石油をまいた律子(伊礼姫奈)、公平(南出凌嘉)、姫昌(田村継)。姫昌に律子を託した公平はマッチに火をつけようとする。その時、律子の父が目を覚ました。それでも計画を実行しようと公平はマッチを擦るが中々火がつかない。すると喜平は「貸してみろ」と公平からマッチを受け取った。「行け」公平に指示した喜平はマッチに火をつけて近くの座布団の上に置く。瞬く間に燃え広がる中、喜平は「律子に伝えてくれ、お前は生きろ」と公平に告げた。公平は恐怖に震えながらも家の外に出て、庭から家をじっと見ている律子と姫昌の隣りに並んだ。
部屋の中では炎に包まれながらも喜平が三味線をかき鳴らしている。思い出されるのは、喜平、隼吾(浜谷康幸)、松夫(泉知束)がまだ仲の良い仲間だった頃。その内に部屋では爆発が起こると、公平が「火事だーー」と大声をあげ、大人達が集まってきた。そこへ帰って来た律子の母は「私を一人にしないで」と大人の制止を振り払って炎の中に飛び込んだ。

津田口(柿澤勇人)は「自分で自分の時を止めてはいけない。あなたは淫売女なんかではない」と諭すように言うと律子(松本まりか)は「あの日、公平が勝手に依頼した弁護士に呼び出されたの。公平の保険金の受取人を内縁関係にある私にするために遺言書を作ったからって」と話し始める。

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ー昭和60年 東京ー
「あんた、死ぬの?末期の膵臓がんなんだってね」律子(松本まりか)は公平(松下洸平)に問う。無言の公平に「だから会いに来たんだ、ねぇそうなんでしょ」「あんたと別れたら私どうやって生きていけばいいのよ」律子は徐々にヒートアップして公平を叩く腕に力が入っていく。力で律子を止めた公平は「俺はまた律子を苦しめてしまった」と言う。外は大雨が降っている。その後、律子は包丁を手に取ると公平に握らせて「もう疲れちゃった…殺して」と涙を流して懇願する。公平が包丁を握った手を振り上げる様子を律子はうっとりと見つめている。しかし公平は包丁を床に捨てた。「そうだよね、こんな寂しい思いは私ひとりで十分」「一人には慣れてるから」律子は立ち上がる。そして「雨がバタバタ煩いの」とつぶやくと振り向きざまに公平の胸に包丁を刺した。公平は痛みに苦しみながらも「お前はずっと俺が存在するか確かめてたんだろ、だからいつも殴ったり蹴ったり」と問う。そして「ほら俺にも血が流れている」と自分の血を律子に見せる。我に返って取り乱す律子を公平は「大丈夫。俺達はもう一緒だ。お前の中でお前が死ぬまでずっと一緒に生き続ける」と強く抱きしめる。そして「頼むから生きてくれ」そう言うと律子を突き飛ばし、公平は自分の周りに酒を撒き始める。両親を殺したあの日とリンクする様子に呆然とする律子の前で公平は火のついたマッチを床に落とした。
律子は涙を流しながら声にならない大声を上げる。その時、家の外から律子を監視している元夫・京波久雄(豊本明長)が部屋の異変に気づき119番通報した。「炎が全てを消してくれる。あの日のように」公平は律子に言う。そこへ京波がやって来た。公平は京波と律子の前で自分の腹部に包丁を刺し「律子を頼みます」と京波に嫌がる律子を連れて逃げるよう託す。強引に連れられていく律子に公平は「律子…お前は生きろ」と呟いた。暴れる律子の耳に公平の三味線の音色が聞こえてくる。三味線の音は次第に弱っていき、爆発音と共に途絶えた。
そこへ警察官が到着し、京波と律子に避難を促す。京波は警察官に「この家の住人の男が自分で腹を刺し、部屋に火をつけた」と証言する。すると律子は「わかるもんか!!」と怒って京波を振り払う。そして炎に包まれた部屋を見つめながら「私達の間には誰も入れてやらねぇ」と呟いた。そして「私の男…私が殺しました」と言う。

「私の男…私が殺しました」律子は津田口の目を真っ直ぐに見ながら明かす。津田口は涙を堪えて律子の告白を聞いていた。後日、律子の裁判が始まる。津田口はこの事件の罪名を【嘱託殺人】と話す。津田口の想定外の発言に裁判官を含めその場の人達がざわつく。「検事がこんな事をしたらクビになってしまう」「クビになったらまた律子の荷物が重くなってしまう」律子と関係のあった男達は口々に言う。すると傍聴していた姫昌(加治将樹)が席を立ち「律子、この検事はお前の荷物になりたいわけじゃない。生きてほしいんだよ」と諭すように律子に問いかけた。
後日荷物をまとめた津田口は、南川(山野海)に「あなたが進退をかけて出した結論なら堂々と出ていきなさい」と背中を押されて地検を後にした。

刑務所の中で律子は首をつって自ら命を絶った。その一報を受けた姫昌は人目もはばからず泣き崩れる。津田口はバス停で公平が書いた律子への小説を読む。りんご農家の彼女(律子・松本まりか)はりんごを丁寧に磨いては箱に詰めていく。彼女の傍らには、元気に遊ぶ男の子と女の子の兄妹がいる。『光が彼女を照らしている。その光は彼女の体に染み付いた忌まわしい音色を全て消し去ってくれる。光を得た彼女は笑う。太陽みたいに明るく』りんごを磨く彼女の元へカゴいっぱいのりんごを持った夫(公平・松下洸平)がやって来る。彼女は幸せいっぱいの笑顔で笑った。

【みんなの感想】
30代・女性
切なさがこみ上げる作品。律子に関わった全ての男性が彼女が生きていく事を望んだのに、結局律子は命を絶ってしまう。特に公平が遺した小説の中の律子が幸せそうで、現実とのコントラストが濃すぎて、こんなにも些細な幸せさえも奪われてしまった律子が不憫でならない。

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