主演:綾野剛・石原さとみ
日本テレビ (水曜日22時00分~)
【内容・ネタバレ含む】
【#07】
ー10ヶ月前ー
海音(石原さとみ)を保護した鴨居は【渚海音】と毛筆で書いた半紙を見せながら「どうかな?」と問う。それを見て海音は「素敵な名前」とうっとりした。
海音は突然、魚達の話す言葉が聞こえなくなってしまった。鴨居家のウツボだけでなく、研究室の魚達も同様で「…こっちもか」海音はため息をつく。そこへ染谷(高橋努)が「見て見て!」とハイテンションでやって来た。遂に海音の論文が掲載されたのだ。何も知らない染谷は「俺が応募しておいてよかったですね、鴨居さん提出し忘れてるんですもん」とはしゃぐ。鴨居は「ここには人間に対する魂の叫びみたいなものが込められてる。たくさんの人が読むべきだと思う」涙ながらに話す。「ここでお世話になったことがこうして形に残せてよかった」と言う海音の表情には複雑な思いが込められているようだった。
その頃、蓮田トラストでは香港の投資会社に株を買い進められていることが発覚する。この会社の目的は不明だが、このままでは会社を乗っ取られてしまう。光太郎(大谷亮平)はすぐにこの会社について調査するよう指示を出す。その時、父・太郎(鹿賀丈史)が気になることを口にする。この会社に大量の株を売却していた個人株主がいた。その個人株主が榮太郎(渡邊圭祐)だったのだ。
そんな中、太郎から「星が浜の件はお前に任せたからな」とお墨付きをもらい、倫太郎(綾野剛)は開発プロジェクトのリーダーに復帰する。倫太郎が復帰したことで海音が蓮田トラストと研究室を行き来する機会も増え、倫太郎は記者に追われる海音の身を心配する。さらに海音の怪しい経歴をめぐって、鴨居研究室は大学内で存続の危機に立たされてしまう。「彼女を切って研究室を存続するかそれとも研究室を解散するか」「大学の信用に関わる問題だ」と鴨居は厳しい選択を迫られる。
海音は蓮田トラストへ向おうとするが、学校の出入り口には多くの記者が集まっていた。染谷や藍花(今田美桜)は海音を守ろうと策を考えるが記者達は目ざとく海音を追い回す。やっとの思いで安全な場所へたどり着いたと思った海音と藍花だが、そこへ一台の車が猛スピードで横付けされた。『こんな所まで記者が!?』と思ったふたりだが、車の主は倫太郎だった。倫太郎の車に乗って海音は無事に研究室から出ることが出来た。その様子を木の陰からMr.エニシ(福山翔大)がこっそり見ていた。エニシはTV局のプロデューサーから「あの先生の秘密を探れ」と指示されていたのだ。
藍花が研究室に戻ると榮太郎が来ていた。「また師匠(染谷)のお手伝いしようと思って」と屈託のない笑顔を見せる榮太郎。「来てたんだ」と藍花はいつもと変わらぬ笑顔で話すが、脳裏には『啀み合うなら辞めちゃえばいいのに』『残りの株も売っちゃいます。これで何か変わってくれたらいいけど』と言う普段藍花に見せない榮太郎の姿を思い出していた。藍花は意を決して「ひとりで抱え込んでない?」と榮太郎に尋ねる。「鋭いな~」榮太郎は明かすのかと思いきや「もうすぐ誕生日でしょ!?家か船、どっちがいい?」と気づかないふりをした。
一方、外の景色を見ていた海音は、会社の方向と違うことに気づく。「遊びに行くぞ」と倫太郎が車を走らせてやって来たのは遊園地。乗り物が苦手な倫太郎は、きゃっきゃ楽しむ海音の隣で恐怖に顔を歪めて絶叫する。自分を元気付けようとする倫太郎の優しさを感じる海音。倫太郎は<海中展望タワー>が環境を壊さないよう、大きさや形まで真剣に考え直そうとしていると明かし、「前向きに協力してくれないか」とお願いする。先日の水族館での子供達の様子を見た海音もまた、「この子達が将来海を守ってくれるなら海中展望タワーがあっても…」と考えるようになっていた。
その夜、倫太郎が帰宅すると太郎、光太郎、榮太郎が集まり、榮太郎の行動をめぐって蓮田家に険悪なムードが漂っていた。太郎は穏やかな声で株を手放した理由を尋ねる。「持っててもしょうがないなと思って」榮太郎が言い終わる前に「あの会社とはどういう関係だ」「お前騙されてるんじゃないか」光太郎は強い口調で問い詰める。「自分の株をどうしようと自由でしょ」「なんかもう…どうでも良くなった」「考えるのも嫌になって」少しずつ言葉を紡ぐ榮太郎に「そんなの理由になってないだろ!!」光太郎の怒号が響く。たまらず「もういいだろ!兄さん」倫太郎が制止する。優しい口調で太郎が「榮太郎、エクレア食べようか」と誘うが榮太郎は少し微笑み返しただけで部屋から出ていってしまった。
そして研究室では鴨居が染谷にスウェーデンの大学に興味はないかと提案する。「もしかしてクビ!?」と驚く染谷に鴨居は「違うよ、いい話だから」とフォローすると「ここがいいです、一生…」染谷は呟いて帰っていった。その頃、自宅の海音は床に倒れ込んで苦痛の表情を浮かべるほど足に負担がかかるようになっていた。そして依然ウツボの声は聞こえないものの何かを言っているようなウツボの様子に「ねぇ、どうして…」と焦りを感じる。
翌朝、海音が海を眺めながら考え事をしているとそこへエニシがやって来た。「潔白を証明しませんか、研究室のために」「お前達が間違っているとビシっと言ってやるんです。僕は味方です」エニシの言葉に、海音は研究室の仲間にこれ以上迷惑をかけないため、“危険な作戦”に出ようと考える。それを海音は鶴川(藤森慎吾)にだけは明かした。鶴川は、倫太郎に心配かけたくないという海音の気持ちを汲み、真面目に話を聞く。そして海音はこの作戦を隠し、この日も倫太郎達と開発について話し合っていた。同じ頃、研究室で藍花と榮太郎は水槽の掃除をしていた。水を掛け合ってキャッキャはしゃいでいると急に真顔になった榮太郎が藍花をそっと抱きしめた。そして「会社の株を売ったんだ」「何か疲れちゃったんだ、兄弟で啀み合うなら会社なんてなくなっちゃえと思った」と明かす。「俺にも本当は夢があって、兄弟で協力して世界中にリゾートを造って」「海にも山にも幸せな場所をいっぱい造りたい」と言う榮太郎は諦めたように「でももう実現できないと思うけど」と続ける。藍花は涙を堪えながらしっかりと聞いていた。
蓮田トラストの光太郎の元に雑誌編集者達が訪ねて来た。光太郎の依頼を受けて、ダナン海洋大学に渚海音の在籍について調査していた。「経歴がでたらめな人物と関係があったと分かれば、蓮田トラストも叩かれ兼ねない」と編集者は進言するが、光太郎は「会社には落ち度はない。弟とこの女を排除しなければ、その方が不利益を被る」と引かず、渋る編集者に「おたくとは定期的にタイアップ企画をしているでしょう」と高圧的な態度を取る。
その頃、察しのいい藍花は鴨居に「私は引く手あまたなので気にしないで下さい、それよりも海音さんを守って上げて下さい」と話す。それを偶然聞いてしまった海音は、みんなのために自分が出来ることをより一層考えるようになる。そんな中、海音はエニシのテレビ番組に出演する日を向える。出番を待ちながら海音は、10ヶ月前に鴨居から教えられた経歴を反復する。海音の出演を知らなかった鶴川や鴨居は慌てる。「俺がちゃんと止めておけば」鶴川から事情を聞いた倫太郎は鶴川に会社の対応を任せると走り出す。
海音の祝福ムードで番組が始まるが、すぐにコメンテーターが台本にない質問を海音に問い、海音は回答しながらも窮地に追い込まれる。コメンテーターは、先日光太郎と会っていた編集者だった。「今すぐ止めろ!!」番組に乗り込んだ倫太郎は強引に海音を連れ出す。「ちゃんと言わなきゃ」と言う海音を「君は何も悪くない」倫太郎は優しく抱きしめた。
「星が浜に行きたい」と言う海音の希望とおり倫太郎は車を走らせる。そして「自分のことを気に入らない兄が君を追い詰めている」と倫太郎は海音に謝る。全てはここで起こった事故のせい。「母が海に向かう姿をもう少し長い間見ていればもっとはやく事故に気づけたかもしれない」「助けられたかもしれなかったのに足がすくんで動けなかった」倫太郎は後悔を口にする。ふたりが手を繋いで散歩をしていると海音は「足が痛くて歩けない」と言い出す。倫太郎は海音を背負って、懐かしの場所である博物館へやって来た。椅子に海音を降ろし、倫太郎は海音の足を心配する。そして「俺は何が出来るだろう。海音とずっと一緒にいるために」と素直な気持ちを口にする。「俺は君を離したくない」倫太郎の言葉に海音は頭上に両手で円を作ると「倫太郎さん、このくらいです。海中展望タワーの大きさ」と笑顔で答えた。
倫太郎は水を買ってくると言って海音のそばを離れる。次の瞬間、海音の視界にある物が飛び込み、海音は驚きながら展示物に近づく。そこには人魚について書かれた古い掛け軸と資料があった。さらに『~人魚との別れ~地上で恋をした人魚は海へと帰らなければならなかった』『人間を不幸にしてしまうから』という展示物の説明書きが目に入り、海音はぽろぽろと涙をこぼす。そして倫太郎との幸せな日々が思い出される。
一方、蓮田トラストでは香港投資会社のトップと太郎、光太郎が接見している。投資会社のトップは、まず初めに経営陣の刷新を図りたいと話す。「彼を取締役に推薦します」そう紹介され、会議室に入ってきたのは榮太郎だった。太郎たちは開いた口が塞がらず固まってしまう。
水を買った倫太郎が博物館に戻ってくると海音の姿がない。倫太郎は展示ケースに残された海音の涙の跡に気づく。その先には人魚の掛け軸。そして「私人間じゃないの」「ここは海の中とは違うから」海音の言葉が思い出される。走り出す倫太郎。同じ頃、藍花に『藍花ちゃん、今までありがとう』と海音からメッセージが届く。そして「ログインできない」と慌てふためく椎木(水澤紳吾)。倫太郎の車を追ってクタクタになりながらエニシが星が浜にたどり着き、同じく海音を心配した鴨居も星が浜の浜辺に海音がいないか周囲を見渡す。全力疾走しながら倫太郎が海音を探す中、裸足の海音は海へ入ろうとする。ところが「あれっ、戻れない」「帰れない、何で!?」パニック状態の海音の元へ倫太郎が駆けつける。「勝手なことするなよ!!」「勝手に居なくなるなよ!!」倫太郎が必死に引き止めると海音は意識を失って倒れてしまう。その時倫太郎が見たのは、波に浸かってピンク色のヒレのように変わった海音の足先と花びらのように周囲に舞う鱗だった。
【みんなの感想】
30代・女性
藍花でもようやく辿り着くような学校の裏側に倫太郎が颯爽と車を乗り付けたり、資料館で展示ケースの水滴を見ただけで海音だと気づく倫太郎とかツッコミどころが満載だけど序盤に比べると楽しめるようになってきた。榮太郎のふとした瞬間に見せる真面目な表情とか藍花に真実を打ち明けるところの方がグッとくる。そしてしれっと取締役に就くと同時に椎木を見捨てた?ブラック性も気になる。兄弟協力しての夢を叶えるためなのか、一番の野心家だったのか今後の榮太郎が楽しみ。