【いりびとー異邦人ー】第4話 感想ネタバレを詳しく(主演:高畑充希)

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主演:高畑充希
WOWOW (日曜日22時00分~) 

電話占いヴェルニ

【内容・ネタバレ含む】
【#04】
「どこへでも連れ出してください、絵だけでも」白根樹(SUMIRE)にそう言われた、篁菜穂(高畑充希)は樹の『睡蓮』を京都で開催される屏風祭に展示する屏風へと仕立てた。「君はあの『青葉』一枚で彼女の才能を!?」菜穂の夫・一輝(風間俊介)は、たった一枚の小さな絵を見ただけの菜穂が、樹には大きな絵が映えるとその才能を見抜いた菜穂の審美眼に驚く。そして菜穂の中で、白根樹を志村照山(松重豊)から引き離さなければならないという思いが強くなっていく。遂には「先生がどんなに彼女を閉じ込めようとしても私が白根樹を世に出します」と菜穂は照山に向かって宣戦布告ともとれる発言をする。一方、東京では菜穂の知らない間に有吉美術館を閉鎖する話が進められていた。

菜穂は、西陽新聞芸術部の記者であり、菜穂に陰ながら情報提供をしてくれる木戸正文(マキタスポーツ)と会う。照山家での出来事を聞いた木戸は「そんなに先生を怒らせたんですか!?」と笑う。そして、宮内庁からの注文だった鶴の絵の契約が凍結された事を教える。「照山先生がまだ東京進出を狙っているなら、もう一度篁さんに近づいてくるはずだ」「交渉するなら今だ」と言う木戸に菜穂は「もう止めないんですか?」と尋ねる。木戸は「もう止めても止まらないんでしょ」と呆れ顔を見せ、菜穂も笑った。
菜穂が、鷹野家に戻ると鷹野せん(梶芽衣子)が廊下から『青葉』を見つめていた。菜穂が帰宅した事にも気づかない程、せんは絵の世界に吸い込まれていた。菜穂と二人並んで『青葉』を見つめる。菜穂の横顔を見たせんは「(菜穂の祖父)喜三郎(康すおん)さんにそっくり。真っ直ぐ過ぎるところがそっくりや」と言う。そしてせんは「うちもこの絵を描いた人の続き、見とうなりました」「貫いたらええ」と後押しする。

菜穂は、書道教室の部屋で始まりの時間を待っていた。瀬島香墨店のみゆきがやって来て「先日の屏風のお礼をしたい」と話す。「体調にムラがあるから…」菜穂はやんわりと断る。しかしみゆきはそれを見越していたかのように「照山先生と白根さんも招待しているのよ」と続ける。樹が来ると分かって菜穂は「行かせて頂きます」と返事をした。
その時、菜穂の元に一輝から電話がかかってきた。一輝は、菜穂の両親から有吉美術館を閉鎖すると聞いた事、貯蔵する絵の売却を依頼された事を話す。黙って聞いていた菜穂は「一輝さんはそれでいいと思った?」と尋ねる。「いいわけないだろ!!菜穂の意見を聞くべきだって言ったよ!」「でも決定事項だって言われたよ」一輝は声を荒げる。そして冷静な口調で「この取引があるとないとでは、画廊の経営も180度違うものになる」「俺は今、子供の父親として話している」と続けた。一輝は、菜穂へ報告する勇気が出なかったのか部屋には飲みかけのウィスキーやビールの空き缶が置かれている。
「それで私に何て言ってほしいの」「先に言うでもなく、言い込めようとしているだけでしょ」菜穂は突き放すように言う。一輝も応戦するように「先に言ったらどうなってた!?」と語気を強める。菜穂は行き場のない気持ちをぶつけるように携帯電話を床に投げつけた。
同じ頃、樹は新しい絵を描き始めていた。樹は、数日前に照山家にやって来た菜穂が家政婦に「樹さんに伝言を『描き続けてください』と」と依頼していたのを柱の陰で聞いていたのだった。その言葉に応えるように樹は、描く手を動かし続ける。

みゆきとの約束の日、川床へやって来た菜穂は照山や樹と同じテーブルに着く。菜穂とみゆきが隣合って座り、菜穂の前には照山が座る。みゆきやみゆきの夫が雰囲気を盛り上げようと、様々な話を振る。ところが照山は「よその人には難しいかもしれない」と菜穂に棘のある言葉を投げかける。樹は怪訝な表情を見せたが菜穂は『大丈夫』と言うような目線を送る。みゆきの夫と照山が話している時、菜穂は樹に視線を送る。そして菜穂が「お腹が苦しくなったので洋服を直してくる」と席を立つと樹も後に続こうと立ち上がる。その時、照山が樹の腕を掴み、みゆきの夫にお酌をするよう指示したので樹は動く事が出来なかった。

東京の自宅では、Yシャツを無造作に脱ぎ捨てた一輝がソファで眠っている。その時、ソファの横を菜穂が通り過ぎていくので一輝は「菜穂?」とその後を追う。いつしか周囲は京都の新緑へと変わる。菜穂の目の前には樹が立っている。そして菜穂が樹の頬にそっと手を添えると樹も菜穂の頬に優しく手を添える。樹の指が優しく菜穂の唇をなぞり、二人はキスをするかのように顔を近づける。その時、樹の鋭い視線が一輝に向けられる。樹は一輝の方を見たまま、菜穂を抱きしめた。
携帯が鳴り、一輝は目を覚ます。余程の悪夢に感じたのか一輝の首元は汗ばんでいた。「菜穂!?」一輝は急いで携帯を手にするが、着信画面に表示された名前を見るとがっかりした様子で父・智昭(菅原大吉)からの電話に出た。智昭は「大変だ、すぐに画廊に来てくれ」と言う。

菜穂は『青葉』を正座して見つめている。その時、お腹の子がポコリと動く。菜穂は「行くよ」とお腹の子に話しかけると決意の面持ちで立ち上がる。
一輝が社長室へ行くと智昭は焦った様子で「(有吉美術館のゴッホの絵を売却しようと)所有者確認したら菜穂ちゃんだった」と言う。克子(森口瑤子)から、所蔵は全て会社名義だと聞いていた智昭は「どうしてゴッホだけ」と動揺する。菜穂の両親も知らない所でゴッホの所有者が、菜穂名義に変えられていたのだ。智昭は、菜穂を説得するよう一輝に指示する。一輝は嫌な予感がした。「それゴッホだけですか…」と一輝の言葉に智昭は「まさか!?」と言う。
菜穂がやって来たのは、美のやま画廊。美濃山俊吾(松尾貴史)は「篁さんが折り入ってと言うのなら大層な事なんでしょうな」と身構える。菜穂は「白根樹の個展をこちらでなさいませんか」と言う。美濃山は「照山先生を差し置いてそれは出来ない。たかむら画廊でするのが筋だ」と答える。「ややこしい関係は水面下に埋めて表は波風立てない、それが京都だ」と諭す美濃山に「それでも一石を投じてみたい、白根樹という原石を」と菜穂は引かない。そして差し出したのは、有吉美術館のコレクションを紹介する冊子。目録に丸印があるものは、自分名義の作品だと菜穂は言う。『ゴッホ』『エドガー』『セザンヌ』『ピカソ』『シャガール』…錚々たる絵画の売却を美のやま画廊に依頼するという菜穂に、美濃山は菜穂の本気を感じ取ると同時になぜという感情を抱く。
同じ頃、一輝と智昭も有吉美術館の10作品が菜穂の物であると確認していた。そこへ「あの子にしてやられたわ」と克子が入ってきた。「元は先代(喜三郎)が会社名義で購入したものだったのに、菜穂が20歳の時、先代が菜穂名義に変えていた」と克子は苛立つ。そして克子が差し出したのは、喜三郎が菜穂に10億円を貸し付けたという金銭消費貸借契約証書。菜穂はその10億円で、美術館の目玉である10点を購入していた。「市場価格の5分の1以下の10億で!」「美術館副館長として以外に、有吉財団から高額な給料を得ていた菜穂はそれを返済にあてていたの」「何としてもあの10点が菜穂の元に残るように二人でずっと秘密にしていたのよ」「我儘で自分本位でとんでもない娘だわ」克子は憎しみの感情に顔を歪める。菜穂が所有する10点は、総額100億円相当の価値がある物だった。
「なぜたかむら画廊ではなくうちで?」困惑する美濃山に、菜穂は「白根樹を世に出すためです」と真っ直ぐに答える。
克子は「菜穂を説得してくださる?その高額なお小遣いをそっくりそのまま返しなさいって」と一輝に詰め寄る。
美濃山がしばらく考えたが「京都で画廊をやる以上、照山先生を裏切る事は出来ません」と断る。菜穂は落胆するも「決断される前にもう少しお時間頂いてよろしいですか」「もう一つ、考えが」と申し出た。

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菜穂は樹を呼び出した。『いつも先生が見張っているみたいで』と樹は明かす。今日ここへ来たのは大丈夫だったのか菜穂が心配すると樹は、家政婦から『先生が観月会へお出かけになりました』というメッセージを受け取った事を明かす。菜穂が樹の腕のアザに気づくと樹は急いで服で隠した。「照山先生の元を離れたいと思った事はありますか」と聞かれた樹は、震えるように小さく頷き、そして数歩歩く。樹が振り返ったので菜穂は慌てて後ろをついて行く。
二人は樹のアトリエへやって来た。樹が扉を開けると菜穂は床の絵に吸い込まれるように近づく。「少しだけ待っててくださいね」菜穂は樹に言う。菜穂の目は、樹の絵に釘付けだった。
『ご両親も心配している。頼むから電話に出てくれ』一輝は菜穂にメッセージを送信する。その時、たかむら画廊に克子がやって来た。「電話が繋がらないならすぐにでも京都に行くべきだ」克子は一輝を非難する。「引きずってでも連れて来なさい。出来ないならあの子に全部バラすわよ」と克子は脅す。

樹はベッドで寝てしまっていた。そこへ照山がやって来た。燃えるような絵を見た照山は「…お前!」と驚く。照山が物凄い形相で近づいてくるので樹は恐怖で強ばる。照山は樹の首を締め、樹は必死に抵抗する。照山は我に返ると無言で立ち去り、自身が描いた鶴の屏風の前で立ち尽くす。
ー17年前ー
樹の母は、病床で照山に「樹を一人前の画家にしておくれやす」と頭を下げた。病室のすみから、小学生位の樹が心配そうに様子を伺っている。照山が「わかりました」と答えると「ありがとうございます」と感謝する母とは対照的に樹は泣きそうな表情を浮かべた。

外出しようとする菜穂に、せんが「そこまで一緒に行きましょうか」と声をかける。「菜穂さんは大事な用があるのでしょうね」全てを見透かしたようなせんの言葉に菜穂は「これから起こる事で先生にご迷惑がかかる場合はすぐに出ていきます」と言う。せんは「迷惑かどうかはうちが決める事どす。お気張りやす」と背中を押した。
菜穂が乗ったタクシーが目的地に到着すると表で美濃山が待っていた。「こんな大胆な事を…」と心配する美濃山に菜穂はこの場所を教えてくれた事を感謝しつつも「ここからのご縁は自分で手繰り寄せてみます」と話す。「ここのお方はそんな簡単なお方ではありませんよ」美濃山の忠告に「覚悟は出来ています」と答える菜穂。
二人が門の前に立つと、重厚な門が開き、家政婦が二人立っていた。「本日は貴重なお時間を頂き、ありがとうございます」菜穂は丁寧に頭を下げる。美濃山が理事長と呼ぶ男性は、読んでいた有吉美術館の冊子から目を離すと菜穂達に椅子を勧めた。美濃山が菜穂に紹介したのは、立野グループ総裁を30年以上努めた立野政志(木場勝己)だった。立野は関西財界の大立者であり、日本屈指のコレクションを誇る立志堂美術館の創設者でもある。
「大きくなりましたな、菜穂さん」と立野は目を細める。「覚えていて下さったのですね」と菜穂が答えるので美濃山は目を丸くする。立野は、菜穂の祖父・喜三郎の知人だった。喜三郎が京都へ来る際は立野が京都を案内する仲であり、幼い菜穂とも何度も会っていた。「喜三郎さんと菜穂さんが築いてきた美術館の閉鎖は惜しい」と立野は言う。そして「いくら資産家とは言え、喜三郎さんがここまで名画の数々を集めたのか長いこと謎だったが、謎が解けた」「全部あなたのためやった。菜穂さんだけが特別な感覚を持っている事は良く聞かされていました」と立野が続けると菜穂は目頭が熱くなる。菜穂は「私の命にも等しい10人の画家の作品をお譲り出来るのは、立野理事長をおいて他には居ません。どうか有吉菜穂の命を預かったとお思いになって立志堂美術館にお納めください」と頭を下げる。立野は「よくわかりました」「あなたの言葉としても有吉喜三郎の言葉としても受け止めましょう」と答える。見事ご縁を手繰り寄せた菜穂の姿を美濃山は密かに感心する。すると菜穂は「先程、10人の画家と申しましたが11人の画家に訂正いたします」と言う。驚く立野に菜穂は「白根樹という画家を加えさせていただきます」と続けた。
一輝は京都駅に降り立つとその足で美のやま画廊へとやって来た。お茶を飲み干し、苛立っているのか貧乏ゆすりが止まらない一輝の元へ、美濃山が「お待たせして申し訳ありません」と入ってきた。一輝は「菜穂を迎えに来たのですが、ご挨拶をと思いまして」と作り笑いを浮かべる。「菜穂は今日東京へと帰る」と一輝が話すので、『京都で出産する』と菜穂から聞いていた美濃山は内心驚く。一輝は、菜穂が照山を飛び越えて樹を支援しようとしている事に苦言を呈す。美濃山は「奥さんを止めるのは無理でしょうな」と答えた。その後も菜穂の批判ばかりする一輝に美濃山は「奥さんは覚悟が違うのでしょう」と菜穂を褒める。一輝の背中は嫉妬で震えているようだった。
一輝は画廊を後にすると、憎いものを前にしたような表情で「白根樹」と吐き捨てた。一方、美濃山は一輝が来た事を菜穂に知らせる。菜穂は、立志堂と美のやま画廊で樹の個展開催が決まった事を「美濃山さんの協力のお陰」と感謝する。「白根樹の原石の絵をもっと見たくなった」「彼女を世に出してあげてください」と言う美濃山の言葉に菜穂は感謝の気持ちと決意が一層大きくなる。
菜穂の元へとやって来た一輝は「菜穂、帰ろう。言いたい事は色々あるだろう。僕も」「今日は手ぶらでもいい、とにかく帰ろう」と冷たく言う。菜穂は一輝に背を向けたまま「あなただけ帰ったら」「私はここで出産します」と答える。一輝は「お腹の子は自分一人のものみたいに振る舞ってるけど、その子の父親は僕なんだ」「僕に一言も言わずに京都で出産なんてあり得ないだろう」と語気を強める。菜穂が黙っているので一輝は「一体京都が何なんだ!!!」「東京でも君の好きなアートに囲まれて不自由なく暮らしていた。ここでないとダメな理由なんてないだろ」と怒りを爆発させる。一輝はふと気づき「白根樹」と呟く。菜穂は一輝から視線を逸したまま黙っていた。
一輝は「君は母親なんだぞ、それくらいわかるだろ」と無名の新人にのめり込む菜穂を否定する。「わからないわ」頑なに拒否する菜穂に一輝は「あの女とデキてるのか」とあらぬ疑いを掛け始める。「私は彼女の絵を世に出したいだけよ」と言う菜穂に「僕より絵を取るのか」と一輝は苛立つ。すると菜穂は「あなたは私よりお金を取ったじゃない」と怒って反論する。「私と樹さんに何かあるなんてよく言えたわね、私の母と過ちを犯していながら」「『睡蓮』の取引と引き換えに関係した事、私が知らないとでも思っているの」「最低ね、あなた」いつの間にか菜穂の目には涙が浮かんでいた。「…どうして…」言葉を失う一輝に菜穂は「こんな面白い事、あの人が黙っているわけないじゃない」と続けた。「君の母親なのに」絶句する一輝に菜穂は「あの人は私の母親なんかじゃない」「実の父親じゃないのよ」と寂しそうに言った。

樹は絵を描いている。部屋の磨りガラスにへばりつくようにして照山が覗こうとしている事に樹は気づいていなかった。

【感想】
30代・女性
両親と一輝達が勝手に進める売却話が、菜穂によって阻止される所とその事実を菜穂が20歳の頃からずっと秘密にしていた所が凄く爽快だった。そして菜穂の元には次々と協力者が集まる引力も魅力的。

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