【いりびとー異邦人ー】第3話 感想ネタバレを詳しく(主演:高畑充希)

2021秋のドラマ一覧

主演:高畑充希
WOWOW (日曜日22時00分~) 

電話占いヴェルニ

【内容・ネタバレ含む】
【#03】
篁菜穂(高畑充希)は、静養のため滞在する京都で白根樹(SUMIRE)という無名の画家が描いた『青葉』の絵に魅了される。京都で出会った新聞記者・木戸正文(マキタスポーツ)から深入りしない方がいいと忠告されたにも関わらず、菜穂は樹が気になって仕方ない。そんな中、菜穂が幼い頃から大切にしていたモネの『睡蓮』が断りなく売却されてしまった。売却を決めた菜穂の母・有吉克子(森口瑤子)は「たかむら画廊が倒産の危機だ。菜穂の家庭を守るためなのだ」と話す。しかし、克子と菜穂の夫・一輝(風間俊介)がただならぬ関係である事を菜穂は知らなかった。
幼い頃モネの『睡蓮』を前に「絵が呼んでる、菜穂の事」と話した時と同じように、樹の『青葉』にも「呼ばれた気がした」と菜穂は話す。そして「(白根樹を)私が世に出す」菜穂は静かに決心した。

菜穂から「あなたの絵は大画面でこそ映える」とアドバイスされた樹は、一辺が2m程ありそうな大きな紙に睡蓮の絵を描く。絵を描き終えた樹は、気を失うようにその場で眠ってしまった。すると師匠・志村照山(松重豊)が部屋にやって来た。照山は樹の絵に息をのみ、そっと部屋を後にする。扉を閉めようとした時、木が軋む音がして樹は、はっと目を覚ます。辺りを警戒するように見回すと照山と目が合った。しかし照山は何も言わずにそのまま扉を閉めた。
一輝は菜穂と連絡が取れず、落ち込んでいる。しかし一輝の父・智昭(菅原大吉)は「お腹にはお前の子がいるんだ。菜穂さんもいずれ許してくれる」と特に気にしていない様子で話す。智昭は「銀行が借り入れの返済を求めてきた。倒産は免れたが経営が厳しい事には変わりない」と打ち明ける。そして在庫を現金化するよう、一輝に顧客リストを渡した。
同じ頃、菜穂は検診に来ていた。胎動を感じた事について「嬉しいでしょう?」と聞かれた菜穂は「嬉しいというより不思議でした」と答える。医師が「外に出る準備をしています」とこの時期の赤ちゃんの成長具合を説明すると菜穂は「やっぱり外に出たいんですよね」と呟く。
菜穂は居候先の書家・鷹野せん(梶芽衣子)と照山の家へやって来た。雨が止み、菜穂が「少しでも明るい中で絵を拝見したかったからよかった」と話すとせんは「ほんまに絵の事ばっかり考えてはるんやな」と笑う。二人は志村家の家政婦に応接スペースへと通される。「家の中まで計算されている」と菜穂は照山がこだわったという家の造りに感心する。そこへ照山がやって来て二人は照山のアトリエへ案内される。中には大きな金屏風に二羽の鶴が描かれていた。菜穂は絵の前に正座して座り、絵をじっと見つめて世界に入り込む。しかし照山が菜穂をじっと見るので、菜穂は絵の世界から引き戻されてしまう。その事にせんが気づき、せんは照山に他の絵の紹介をさせて菜穂を一人にする。菜穂は恐る恐る樹について照山に尋ねる。「上の部屋で何か描いています。よかったら覗いてやって下さい」照山に言われた菜穂は、伺うようにせんを見る。せんからお咎めがないので、菜穂は少し躊躇いながらも樹のアトリエへと向かう。
菜穂は部屋の扉をノックする。しかし返事がなかったので菜穂は扉を開けた。中では樹が膝を抱えて座っていた。「こんにちは」菜穂は樹に挨拶する。それと同時に大きな紙一面に描かれた絵に吸い寄せられるように歩を進める。「どうして睡蓮の絵を?」菜穂に聞かれた樹は『あなたのこと考えてたら浮かんだ』と携帯にメッセージを打って答える。菜穂は「個展やどこかで発表する予定がないなら、この絵を私に預けて頂けませんか」「展示の予定がないなら欲しいと思ったもので」と申し出る。樹が優しく微笑んで頷いたので菜穂も喜ぶ。樹は『どこへでも連れ出してください 絵だけでも』と伝える。菜穂が心配する表情を樹に向けると、樹は深々と頭を下げた。
菜穂は照山の元へ行き「ご相談があります」と申し出る。その後、せんと菜穂は照山家を後にする。帰る二人の姿を樹が窓からそっと見ていた。そこへ照山がやって来て「何見てるんや」と樹の肩に手を置く。そして「いまの内は仲良くしておけばいい、あの人はずっとここに居る人やない」と言った。

一輝は在庫売却のため、顧客へ電話をかけているが上手くはいっていないようだ。そこへ「黒川様がいらっしゃいました」と社員の財津有子(白羽ゆり)が呼びに来た。「黒川様のご要望にお答え出来る作品が見つかりましたので」一輝は懸命に笑顔をつくる。黒川は絵を購入し、財津が配達等の手配を行う。「ご要望があれば設置担当のスタッフを」と財津が言うと黒川は「梱包したまま置いておくから必要ない」と言い、財津は面食らったように一輝に視線を送る。失礼な絵の扱いをする黒川の言葉にも関わらず、一輝は笑顔を見せていた。「3年で5倍になるなら良い買い物だ」黒川は満足そうに画廊を後にする。一輝の態度に異議ありげな表情を見せる財津に一輝は「何ですか?」と厳しい視線を送った。
『祇園祭の宵山を見に来ませんか』菜穂から一輝にメッセージが届く。その夜、一輝は克子と食事をしていた。「とにかく(菜穂に会いに)行かないと」と話す一輝に克子は「信じてるわ、あの夜の事」と微笑んだ。食事を終えてひとけのない細い道を歩く二人。克子はふと一輝の腕を引き、キスをしようとしたが一輝は「止めてください」と拒否する。「あなたが欲しかったのはモネだけなの?」と言って強引にキスしようとしたが一輝は「これ以上菜穂の事を傷つけるのは」と再び拒否した。「すみません、お義母さん」一輝が立ち去る後ろ姿を克子は悲しそうに見つめていた。そして悲しみが怒りに変わるように肩を震わせると携帯を取り出した。

鷹野家の菜穂の元へ一輝がやって来た。一輝の顔を見ても菜穂は嬉しくなさそうだ。一輝はすぐにモネの『睡蓮』について謝るが菜穂は「もういいの、その事は言わないで」「今日はただ楽しんで行ってもらいたいの」と答えた。安堵した一輝が「もう許してもらえないかと思った」と吐露すると菜穂から鋭い視線が送られて一輝は固まる。そこへせんがやって来た。せんは一輝に「今日は山ほこではなく、屏風祭に行くのだ」と話す。屏風祭とは老舗や旧家が自慢の作品を陳列するのだという。そして、せんの書道教室の生徒でもあるみゆきの瀬島香墨店へと三人は向かう事になった。一輝は『青葉』を指して「何か他の作品は観た?」と菜穂に軽く問いかける。菜穂は「今からそれを観に行くのよ」と答えた。
香墨店に入ると樹の『睡蓮』が屏風になって飾られていた。一輝は「これは…素晴らしい」と息をのむ。せんも感心して「菜穂さんが屏風に仕立てはったのはこれどすか?」と尋ねる。菜穂は「はい」と満足そうな表情で答えた。「君はあの『青葉』一枚で才能を…」菜穂の審美眼に一輝は驚く。そこへみゆきがやって来て「菜穂さんのお陰だ」と話すと一輝は嫉妬の表情を浮かべる。三人は部屋の奥へと通される。奥では関係者達に会食が振る舞われており、照山の姿もあった。照山は「大胆な展示をしましたな」と話す。

ー3週間前ー
「ご相談があります」と照山に申し出た菜穂は、「東京での個展にご興味がおありですか」「たかむら画廊で個展を開きませんか」と尋ねる。菜穂の真剣な話よりも蚊を退治する事に気を取られている照山の様子に菜穂が諦めかけた時、照山は「こちらの都合に合わせて頂ければ」「これもご縁ですから」と答え、菜穂は喜ぶ。そして「お引き受け頂いたお礼に樹さんの『睡蓮』を預からせて頂けませんか」「東京での初個展にウチを選んで頂いたお礼を」「先生は白根さんのデビューのきっかけを探していらっしゃるのではと思いまして」と続ける。照山は「お気持ちだけ」と断るが菜穂は「先生は画壇デビューはまだ早いとお考えですか」「私はあの『睡蓮』は傑作だと」とつい熱がこもってしまう。照山の冷たい視線に気づいた菜穂は「何か事情がおありなのですね」「何も知らずに出すぎた真似を」と謝る。せんの存在を気にしてかいつまでも頭を下げ続けている菜穂に、照山は「正式なものでなければ、京都で一度だけなら」と了承した。

この時「相応しい場所を探しておく」と言った菜穂の答えが、この屏風だったのだ。「屏風祭とはよう考えはりましたな」と感心する照山に、「一回限りという事でしたので」菜穂は意味深に答える。
樹が外出しようと扉に手を掛けた時、照山が階段を上ってくる音がして樹は扉の前にしゃがみこんで動けなくなってしまった。
会食をしている時、菜穂はみゆきに樹も誘ったのかと尋ねる。菜穂は「(樹が来るのを)待ってみる」と言って席を外す。菜穂が樹の『睡蓮』の所へやって来ると木戸が屏風の前に座っていた。木戸は「晩に来たのは失敗だった」と悔しがる。昼間に来れば屏風の上にある天窓から光が差して睡蓮が濡れたように輝いて見えたはずだと言って「計算ずくですな」と菜穂を褒める。「屏風にしたために水面が波打ったように風を感じられ、睡蓮が飛び出て見える」と評する木戸に菜穂は「お見通しですね」と答える。「私の身近には絵についてそこまで深く話せる人が居ないので嬉しい」と言う菜穂の言葉を一輝は聞いてしまい座敷へと戻って行く。
座敷では『睡蓮』を照山の作品だと勘違いした男性が「傑作だ」と褒め称える。照山は自分の作品ではないと否定しつつ苦笑いを浮かべたが目の奥は笑っていなかった。
「こうして展示が出来たのも木戸さんに事情を教えて頂いたお陰です」と菜穂は感謝する。そこへ帰り支度を済ませた照山がやって来た。二人は頭を下げて照山を見送る。木戸は「怒ってはりますな、あれは嫉妬でしょうね」「樹と実父の多川鳳声(二階堂智)にでもある」と言う。当時ライバルと言われていた画壇の中でも鳳声が一席、照山が自席と言う見方が多かったようだ。菜穂は我慢ならない様子で「だからといって樹さんの絵を出さないのは間違っている」「本来ならば彼女はもう…」と言うのを木戸は「ぼちぼち身を引いた方がいい」「鳳声が亡くなった時、照山先生がその場に居たって話もある」と忠告して止める。それでも菜穂は「樹さんの絵が世に出ない事の方が怖い」と力強く言った。

wowowのドラマをもっと楽しみたい方はこちら
期間限定

その夜、一輝は菜穂の部屋に泊まる事になった。すっかり寛ぎムードの一輝に菜穂は「お願いがあるの」と真剣に話す。菜穂は、有吉美術館で樹の展覧会を開催するのと同時にたかむら画廊でも樹の個展を開いてほしいとお願いする。無理なお願いに困惑する一輝に菜穂は、照山にも納得してもらうためにまずは照山の個展を開催すると明かす。「樹さんを照山から引き離そうと思うの」菜穂は熱心に話すが、一輝は「入賞経験もない樹をウチでデビューさせるのは無理だ」と答える。菜穂は「そうよね、私ひとりで何とかしてみる」と言った。それは一輝なんて頼りにしていないとでも言いたげな言い方だった。「一輝さん、私…」菜穂は言いかけたが「やっぱり何でもない」と黙ってしまう。一輝は「少し考えさせてくれ」「一人で何とかするなんて言うなよ、夫婦だろ」と話しかけたが、菜穂は返事をしなかった。
同じ頃、樹はヘッドフォンをして大きなキャンバスに描いていた。樹の部屋に入ってきた照山は樹の背後からヘッドフォンを外すと「何で来いひんかったんや」と話しかける。そして怯える樹の両腕を掴むと「誰がどうしようと、ワシと樹は離れられへんやろ、なぁ」と言った。

『屏風祭ではお会いできず、残念でした。お礼をさせていただきたいので、近々お食事にでもいきませんか』菜穂は樹にメッセージを送信した。同じ頃、黒い高級外国車が有吉家に停まる。中から降りてきたのは、一輝と智昭だった。「菜穂抜きで」と呼ばれたようで、二人とも「どういう事だろう」と克子の意図が分からない様子だ。菜穂の父と克子、智昭と一輝が世間話をしていると克子が意味深に「睡蓮の件も」と言い出し、一輝は目線を逸らす。
菜穂の父が「折り入って相談がある」と言い出す。父は「美術館を閉館する。諦めたという事です」と続ける。実は父が経営する会社の業績が思わしくなく、銀行から所有財産の売却を求められているのだった。「年間数億円のコストがかかる美術館維持は、リストラを強いる社員の手前良くない」「絵の売却について全てをお任せする」と父は言う。トントン拍子で話が進む中、一輝が「菜穂の意見は聞いたのですか」と口を挟む。「電話もロクに出ないのに」と言い訳する克子に一輝は「菜穂は有吉美術館の副館長ですよ」「菜穂の意見を聞かずにこの話は進められません」と強く反対する。「君が菜穂を思いやってくれるのはありがたいが、これは決定事項なんだ」「菜穂と子供のためなんだよ」と菜穂の父は冷たく言い放つ。一輝は引き下がるしかなかった。克子は「菜穂には一輝さんから伝えて」「その位の事はして下さるわよね」と半ば強引に押し付けた。「失礼します」一輝は怒りを含んだ口調で言うと足早に部屋を後にする。
克子は一輝を追いかけて「菜穂の事、お願いね」と言う。一輝は「どうして菜穂の大切なものを奪うのですか」と責める。しかし克子に「『睡蓮』の売却を持ちかけたのは誰?」と言われてしまい、一輝は何も言い返せなかった。

その頃、京都ではせんが菜穂のお腹に耳を当てて、赤ちゃんの胎動に感動していた。菜穂は「私をここに置いて下さり、本当にありがとうございます」と改めて感謝する。菜穂は、妊娠が判ってから自分の中にもうひとり人間が居るのが気持ち悪かったが、鷹野家で過ごす内に徐々に受け入れられるように気持ちが変化していったと明かす。そして「東京に居る時よりもご縁を感じるようになった」と話す菜穂にせんは「自分ではなく京都が、京都の水が菜穂さんに合ったという事だろう」と答える。その時、照山から個展の打ち合わせがしたいと電話が入り、菜穂はひとり照山家へとやって来た。
照山は早速一枚の絵を菜穂に見せる。青と白を使って描かれた藤の花だった。菜穂はじっと絵を見つめたが、惹き込まれる程ではなかった。様子を悟った照山は「菜穂さんは正直な方ですな」と絵を仕舞う。そして食事の用意を聞きに来た家政婦に照山は「篁さんはもう帰るから準備しなくていい」と暗に菜穂に帰るよう促した。去り際、菜穂は「先生は白根さんのデビューはいつ頃とお考えでしょうか」と問う。照山は棚からウィスキーを取り出し、菜穂にも呑むように勧める。菜穂は様子を伺いつつも「先生は白根さんの作品をこのままにするおつもりではないですよね」と尋ねる。照山が黙っているので菜穂は「それではあまりにも白根さんが」「彼女の気持ちはどうなるんですか」と口調が強くなる。そして「先生がどんなに封じ込めようとしても、私が彼女を世に出します」と宣言する。照山は「私の意向を飛び越えて彼女の作品を世に出せるとお思いですか」と言ったが、菜穂は無視をして立ち去った。
照山がお酒を注ぐ手が震えていた。玄関で家政婦が「タクシーを呼びましょうか」と菜穂に話しかける。菜穂は家政婦に「描き続けて下さいと」と樹への伝言を託した。

【感想】
30代・女性
菜穂はこれまで純粋なお嬢様だと思っていたが、次週からは樹を助け出すために策を巡らせて行く様子が楽しみ。菜穂と克子の間で板挟みの一輝、最後には菜穂側についてほしい。

←2話はこちら      4話はこちら→

wowowのドラマをもっと楽しみたい方へ
wowowは月300本以上の映画やドラマ、スポーツやライブ、舞台などをお届け
3,000本以上の番組が“いつでも、どこでも”楽しめるオンデマンドサービスも

期間限定