主演:高畑充希
WOWOW (日曜日22時00分~)
【内容・ネタバレ含む】
【#01】
クリスマスツリーが飾られた部屋。外は雪が降っている。少女は花瓶に活けた花を楽しそうにデッサンしている。外で物音がして少女は部屋の窓を開ける。下には父が倒れ、向かい側に何者かが立っている。少女が窓を開けた音で何者かが少女の方を振り返った。少女は怖くなり、部屋の明かりを消すとベッドの下に隠れた。何者かが少女の部屋に入ってくる。少女は恐怖を押し殺すように手で口を抑えて、必死に息を堪えた。
池に黄色い蓮の花が二つ描かれた油絵…篁菜穂(たかむらなほ・高畑充希)はホテルの部屋で目を覚ますと携帯に手を伸ばす。そして腹部エコーの動画を再生する。動画では赤ちゃんが元気よく動いている様子が見て取れる。菜穂が寝返りをうつ。ダブルベットの半分側に夫の姿はない。その後、菜穂はレストランに行く。菜穂の視線の先には、幼い子供を連れた家族が数組仲睦まじく食事をしている。そこへ「篁様、おはようございます」ウェイターの男性・植田がオレンジジュースを持って来た。植田にこの後の予定を聞かれた菜穂は「桜を見に行こうと思って」と話す。植田は早咲きの桜が見られる場所を案内しようとしたが土地勘がなく「京都に憧れて出てきた田舎者なもので」と話す。菜穂が「それで京都は思った通りの街でしたか?」と尋ねると「何年経っても受け入れてもらえない気がする」「”いりびと”って言葉があるみたいです」と答えた。植田が立ち去ると菜穂は寂しそうに携帯に視線を落とした。
ー東京 銀座ー
『たかむら画廊』の中では、篁一輝(たかむらかずき・風間俊介)が従業員達に展示する絵画を指示している。その時、菜穂から電話がかかってくる。「いつこっちに来られる?」と菜穂に聞かれた一輝は「君は興味ないかもしれないが、画廊もビジネスだ。理想だけでは潰れる」「京都に行くのはもう少し待ってほしい」と話す。すると菜穂は「何だか気味が悪いのよ、自分の中に別の人間が居る気がして」と言う。「別の人間って僕達の赤ちゃんだろう」一輝はそう言うと忙しい事を理由に電話を切った。そこへ有吉克子(森口瑤子)が訪ねてきた。
「一輝!ニューヨークのコレクターと取引が決まったぞ」と一輝の父・篁智昭(菅原大吉)が嬉しそうに話す。香港の資産家がモネの『睡蓮』を買い取ると即決したのだが、支払いが一週間後になるようだ。すると先方が手付金を要求してきたため、智昭は銀行にお金を借りに行くと話す。一輝は何も言わなかったが、不安視する気持ちが表情に表れていた。一方、一輝がこれから食事に行くと知って智昭は「個展の準備もまだなのに…」と苦言を呈す。しかし相手が、菜穂の母・克子だと分かると仕方ないかと態度を変えた。
克子は先程の電話の相手が菜穂だと分かるとその場で菜穂に電話をかける。そして「せっかく京都に居るのだからホテルに缶詰になっていないで美術館などを巡ったら」とアドバイスする。一人が嫌なら父の知人を食事に誘えばいいと克子が言っても、楽しそうにしてくれるのは建前だと菜穂は答え、もう少し長く京都に滞在すればいいと克子が言うと東京に戻ってくるなという事かと菜穂は言う。明るい克子とは対照的に菜穂の表情は優れなかった。
克子は食事をしながら「あなたとは長いお付き合いになったわね、有吉さんって呼ばれてたのに今ではお義母さんって」と嬉しそうに話す。今回、菜穂の京都滞在を提案したのは克子だった。一輝は「五輪が終われば戻って来るんですよね」と心配そうに尋ねる。克子は「安定期までは穏やかに過ごしてほしいだけよ」と一輝の手に触れながら笑った。何か考えを含んでいそうな克子の笑顔に一輝は気づかなかった。
ー京都ー
一輝は足早にタクシーに乗り込む。「タクシー夜は空いているんですね」一輝が話しかけると運転手は「夜って言うか深夜だから」と答える。バックミラーに映る運転手の表情は、よそ者を受け入れないような冷たさがにじみ出ていた。「遅くなってごめん」一輝が菜穂の部屋に入る。一輝は菜穂が痩せたのではと心配する。菜穂は京都に来てから食欲がないのだと答える。元気がない菜穂に一輝は「お義母さんも心配して提案したことだ」とフォローするが、菜穂は「分かってる、でもここに居ると私だけ異邦人みたいだ」と話す。
一輝は「明日、体調がよかったら美術館か画廊へ出かけよう」「数年前に訪れた美のやま画廊はどうか」と提案する。「(以前、美のやま画廊を訪れた際に)菜穂がまだ無名だった志村照山(松重豊)の絵を即決した時は驚いた」一輝は懐かしそうに話す。菜穂は「あれは呼ばれた気がしたから」と答えた。「画廊はいつでも行けるから、平安神宮の枝垂れ桜を見に行きたい」菜穂が言うと一輝は開花予想を調べる。平安神宮の枝垂れ桜の見頃は一週間後だった。「ここに来てから一週間がものすごく長く感じる」と言う菜穂に一輝は「パウル・クレー 魔術師の芸術展はどうか」と提案する。
翌日、二人はタクシーに乗る。タクシーは満開の桜の下を走っていく。窓の外を眺める菜穂に「枝垂れ桜じゃないけど気にってくれましたか」一輝は微笑む。美術館に到着すると一輝は「僕はこっちから観るよ」と言う。菜穂は「え?」と一瞬戸惑うが了承した。そして菜穂は右側の階段を、一輝は左側の階段を上っていく。
絵画を観ていた菜穂は、ふと視線をそらす。そこには、スポットライトのように陽に当てられた女性が立っていた。菜穂は吸い寄せられるように女性に近づく。その時、女性が振り返り二人は目が合う。そこへ一輝がやって来て「知り合い?」と尋ねるが菜穂は反応しない。女性と菜穂の間に一輝が割り込むと菜穂はようやく我に返る。一輝がどくとそこに女性の姿はなくなっていたが、菜穂は女性が居た場所を見つめ続けた。
菜穂は美のやま画廊へやって来た。通りに向けて飾られた照山の絵を観た後、画廊の中に入る。店主の美濃山俊吾(松尾貴史)は5年前に訪れた菜穂の事を覚えていた。俊吾は「照山先生の作品は表にある新作だけだが」と言って奥の作品も観ていくよう促す。菜穂が奥の部屋に入ると屏風絵の前に男性が座り込み「ありきたりだな」と話しかけてきた。俊吾が「こちら西陽新聞芸術部の記者・木戸正文(マキタスポーツ)さんでアートに精通した方です」と男性の事を紹介する。そして菜穂の事を「有吉美術館の副館長さんです」と紹介された木戸は「あぁ、あそこの睡蓮は良いですよね」と言う。「有吉美術館は所蔵数を誇る美術館だから知っている」と木戸がグイグイくるので菜穂は恐縮しつつも後ずさってしまう。
俊吾は気を利かせて菜穂だけを別室に案内する。「実は今度うちで照山先生の個展をするんです。とっておきをお見せします」俊吾が言い終わらない内に菜穂はある絵に向かって一直線に進んでいく。菜穂は小さな絵の前で正座をするとその絵に見入る。描かれた植物がキラキラと輝き、まるで目の前にあるような空間に入り込む菜穂。俊吾の声で我に返った菜穂は、この絵の作家を尋ねるが俊吾は「無名の新人です」と口をつぐむ。「まだデビュー前ですから」と濁す俊吾に菜穂は「この絵おいくらなら譲っていただけますか」と有無を言わせない迫力で言う。
菜穂が画廊を後にすると木戸が歩いていた。菜穂は木戸に話しかける。そして絵に書いてあった『樹』というサインの作家について尋ねる。木戸はなぜ俊吾が教えなかったのか不思議に思いながらも「じゅ、き…と」記憶を辿る。そして「『白根樹(しらねたつる)』照山先生のところのお弟子さんですよ」と思い出す。そして「美のやまさんが樹の才能に目をつけているのだが、どうしても照山が手放さないのだ」と教える。さらに「ここから先は深入りしない方がいい、大怪我しますよ」と忠告した。
菜穂はすぐに一輝に電話をかけ「すごい画家を見つけた」と話す。一輝は照山の新作『若葉』に興味があると言うが菜穂は「同じ若葉を描いているのに、入口も手法も到達点も違う」と興奮気味に話す。その絵を100万円で買ったと菜穂が言うと一輝は表情を一変させ「それは買わせたくなくて法外な値段をつけたに違いない」と言う。菜穂は自分の目で確かめてほしいから今晩にでも京都に来てほしいと言う。その時、「待ってください、うちも被害者なんです」と智昭の声がして一輝は電話を切った。
一輝が社長室に行くと智昭は気が動転してるようだった。そして「モネの取引がとんだ」と落胆する。さらに銀行から借りた5億円と共に信頼していた部下が消えたのだと言う。「このままでは1ヶ月ともたない…」智昭はある事を思いつく。「有吉美術館の『睡蓮』をモネの代わりに売ろう」とんでもない提案に一輝は「あの睡蓮は菜穂が特別大事にしているものだって知ってますよね」と憤る。それでも智昭は「お前も父親になるんだ、倒産は避けたいだろう。菜穂ちゃんだって分かってくれる」と譲らなかった。
重い足取りで一輝は京都に降り立つ。一輝が菜穂の部屋のベルを鳴らすと扉が開き、一輝は腕を引っ張り込まれる。そして突然、菜穂からキスをされて驚く。その後も続く熱いキスに一輝は「まだ安定期入ってないなのに」と言うが菜穂はお構いなしに続ける。その後、シャワーを浴びる一輝は暗い表情で苦悩する。
『睡蓮』をじっと見つめる菜穂。「お祖父様はこの睡蓮があったから有吉美術館を造ったの」「この絵とはずっと一緒だと思う」と愛おしそうに話す菜穂を一輝は思い出していた。
一輝が部屋に戻ると菜穂は寝てしまっていた。翌日、一輝と菜穂は美のやま画廊にやって来た。三人は樹の絵を前にする。菜穂が「一枚一枚の葉に陰影がないのに奥行きを感じる」「際立った独自性、思い切りがある」と指摘する。菜穂の審美眼に一輝は劣等感の表情を見せる。その時「上手いこと言わはる」と志村照山が現れた。俊吾は気まずそうにしながらもお互いを紹介する。すると照山が「本人も喜びます。何なら今ご紹介しましょうか」と言い、俊吾は慌てて止めようとする。制止しようとする俊吾をよそに菜穂は、外の車で待っているという樹に会いに行く。残された男性三人の間に気まずい空気が流れる。特に何を考えているか真意が読めない照山の笑顔が一輝は苦手そうだった。
勢いよく画廊を飛び出した菜穂だったが、近くに停車するタクシーの中に樹の姿はない。辺りを探すと川に掛かる細い石橋の上で絵を描く女性の後ろ姿を発見した。菜穂は、恐る恐る近づき「美術館でお会いしましたよね」と話しかける。「私、青葉を買わせていただいた者です」と菜穂は言ったが、白根樹(SUMIRE)は黙って菜穂を見つめる。菜穂が『若葉』を絶賛して「もっと大きな画面で観てみたい」「他にも描いているのか」など質問するが樹は黙って見つめるだけ。「もしかして…」菜穂が気づくと樹は左手を差し出す。菜穂が右手を重ねると手のひらに『聞こえます。でも話せない』と書いて樹は頭を下げた。菜穂は「あなたの作風は大画面でこそ映えると思う」と自分の名刺を渡した。その様子を一輝が目撃する。一輝は二人の様子に、声をかける事を止めて来た道を戻っていった。
東京に戻ろうとする一輝に菜穂は「無理だって言っていたのに来てくれたのは、何か話があったからでは?」と尋ねる。一輝は菜穂の体が心配だったからと言って『睡蓮』の事を言わなかった。一輝が数歩進んで振り返るともうそこに菜穂の姿はなかった。東京に戻った一輝は「お前何しに京都に」「菜穂さんが駄目なら喜三郎さんも克子さんも『睡蓮』手放さないんだぞ」と智昭から怒鳴られる。智昭が「もう警察に被害届を出すしか…」と言うと一輝は「ビジネスパートナーに騙された画廊だと知られれば信用が失墜する」と反対する。智昭には他に打つ手がなかった。その時、一輝は自身の手に艶かしく触れる克子の手を思い出す。そして「別の手がある。克子館長の決済を取り付ける方が早い」と提案する。しかし、かつて智昭は克子に取引を持ちかけて失敗していた。『同じ相手に二度同じ話をするのはご法度』業界の掟があるため、それは出来ないと智昭が言うと「僕が話をする」と一輝は言う。
ー志村家ー
樹が部屋で菜穂の名刺を眺めていると照山が階段を上ってくる音がする。樹は咄嗟に手で口元を押さえて固まる。部屋に入ってきた照山は、樹が持つ名刺を見ると「篁さんか、樹の絵がこんなに褒められて嬉しい事はないな」と呟く。そして一枚の絵を手に取ると「これもらってええか?美濃山さんの所に持っていってやる」と言って立ち去る。樹は抵抗しようと立ち上がるが異を唱える事が出来なかった。
菜穂は部屋に樹の『若葉』を飾る。すると絵の枠を超えて青々と茂る若葉の世界が広がり、菜穂はその中に引き込まれる。一方、一輝は克子に連絡するか否か悩んでいた。Barで意味深に触れる克子の手を思い出した一輝は、意を決して携帯を手に取る。同じ頃、菜穂は樹に『今度アトリエを拝見させていただけませんか?あなたの絵がもっと見たいのです』とメッセージを送る。樹が返事を打とうとした時、再び照山の足音がして樹は口元を押さえる。樹の脳裏に、少女時代に父を襲った何者かが迫る恐怖が思い出される。樹は恐怖に震えながらメッセージを送信する。
一輝は電話に出た克子に「助けてください」と言う。同じ時、菜穂は樹から『助けてください』とメッセージを受け取る。菜穂は木戸の『深入りしたら大怪我する』と言う忠告、俊吾の態度や照山を思い出す。その頃、メッセージを送信した樹は床に倒れてしまう。少女時代、ベッドの下に隠れた樹を引きずり出したのは照山だった。照山は樹の首に手をかけようとする。しかし樹の目に見つめられ、照山はシーっと人差し指で樹の唇に触れたのだった。
【感想】
30代・女性
あっという間に時間が過ぎていった。ドロドロな人間模様を絵画の美しさが薄めてくれている感じ。菜穂と樹以外、黒くて怖い、特に菜穂ママ…。
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